すでにここでも触れましたが、ことしのツール・ド・フランドル(ロンデ・ファン・フラーンデレン)は、このレースの顔とも言うべきヘラーツルベルヘンの壁がカットされました。あの坂道の途中にちょっと突き出たレストランも、激坂の上の礼拝堂も今年はなし。その代わりにアウデ・クワラモンとパーテルベルフが含まれる周回コースを3周してゴールとのこと。ゴールの町も変わりました。(ところでJスポーツの予定に出ていなかったので、ちょっと心配したんですが、年間カレンダーにはLIVEと出てますね。)
こうすることでもっとスリリングでもっと魅力的なレースを提供できるとオーガナイザーは豪語しておりますが、ファンや選手の間からはかなり疑問の声も。rsn とcyclingnews ではカンチェラーラのさめた声を紹介してます。
「去年と比べても、むちゃくちゃ変わった、とてもハードなレースになるね。パーテルベルフがレース最後の登りになるけど、去年までのミュールとボスベルフよりも難しく、もっとダメージになるだろうと思うね。ずっと走ってきて最後にこんな短いけど急な坂があるんだから全然違うよ。考えてもみてよ、180キロ走って最後にこんな坂を上るんだからね。」
同時にこれほど大きなコース変更は自転車競技がヨーロッパから世界中へと、ワールドワイドなスポーツになった影響を挙げてますね。たとえばカリフォルニアやオーストラリア、中国でのレースが増えているわけで、そのぶん、逆にヨーロッパの伝統あるレースが影響を受けて、カンチェラーラが若い頃に有名だったイタリアのレースなどが見劣りしているというわけです。
「伝統なんてあまり重視されず、重要な変更も次々行われる。ただ、おおきな疑問もあるね。これってレースをもっとハードにするためなのかい? 単に金の問題? それとも政治的思惑とか商売? それとももっとスリリングなレースを見せるため? ぼくは主催者じゃないから、答えはわからない。ぼくは選手に過ぎないから、レースが終わったら、もっといろいろこのことについて話せるんじゃないかな。ファンは二つの激坂を3回も観られる。周回コースは人でごった返すだろうね。たぶん何度も観られるんだから、去年なんかよりももっとずっとファンの数は多くなるね。つまり選手のことを考えたのではなくファンのことを考えた変更なんだ。これが良いことか悪いことかはレースが終わったら言えるようになるだろう。」
最後の「選手のことを考えたのではなくファンのことを考えた変更」というところに、主催者が主張する、コース変更によってもっとスリリングなレースが行われるようになるという説を、ちょっとだけ批判していると考えて良いんだろうなぁ。もっともスリリング=観客増なんだろうけど。
ツール・ド・フランドルも、自転車競技が世界中に広まったことによって、その分ヨーロッパのレースの濃度が薄まってしまうことを恐れて、人気対策として最後を3回観ることができるようにしたってことなんですかね? ただ、うわさでは、フランドルがうまくいけば、他のクラシックも最後に周回コースを取り入れるようになるのではないかと言われているようですが。現地で観るファンにとっては、たしかにそのほうが楽しいでしょうね。ただ、あのカペル・ミュールへの登りがなくなるのはなぁ。。。

©Walter Rottiers, Treffpunkt Tresen. 2004
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