うー、死ぬかと思うほどの忙しモードもなんとか一段落しました。自転車関連のニュースはめぼしいものが入ってこないようなので、今回はアルヴォ・ペルトという現代音楽の作曲家の曲のご紹介。
エストニア人です。もと世界チャンピオンのキルシップの国ですね 笑)
初めてこの人の曲を聴いたのは1980年代後半のFM放送。何気なく聴いていた午前中のFMでペルトの「スターバト・マーテル」が流れてきたんです。椅子から転げ落ちそうになるぐらい、びっくりしましたねぇ。中世の音楽のようでもあり、現代音楽のような変な和音も混じり、古いグレゴリオ聖歌のような教会音楽のようでもありながら、声明のようでもあり、なんだか当時は聴いたことのない音楽でした。
「スターバト・マーテル」というのは「悲しみの聖母たたずめり」ということで、十字架にかかったイエスの足下でたたずむ聖母のことです(ちなみに泰西名画で足下でくずおれている女性はたいていマグダラのマリアということになるようです)。この題名の名曲というのは結構あります。とくにペルゴレージ。この人は18世紀の20代で早世した作曲家で、他に曲が何も思い浮かばないぐらい、この曲だけで名を残した人です
さて、ペルトですが、そのすぐ後に新宿のHMVでCDを3枚見つけて購入。この「スターバト・マーテル」が入っている「アルボス(樹)」と「ヨハネ受難曲」、そしてペルトの最初のアルバム「タブラ・ラサ」でした。どれもすごい曲でした。特に「アルボス(樹)」は曲の配列がすごく、ファンファーレのような「アルボス」という曲で始まり、いくつかの小曲が並んだ後にもう一度この「アルボス」のファンファーレ。そして「スターバト・マーテル」が始まるという構成で、YouTube にも「スターバト・マーテル」は単体でアップされてますが、やはりCDの曲の配列で聴きたいところです。
なお、このアルバムは84年になくなった映画監督タルコフスキーに捧げられています。たしかにタルコフスキーの映画との相性はものすごくよさそうです。タルコフスキーがもう少し長生きしていたら、二人のコラボが見られたかもしれません。
一時期は新しいアルバムが出るたびに買っていたので、先ほど数えたらペルトのCDが15枚もありました。ただ、その後ヒーリングミュージックとか言われ出して、カラヤンのアダージョとかがはやって、その流れで、このペルトも有名になってきました。すると例の天の邪鬼が頭をもたげ、しばらくペルトからは遠ざかっていたんですが、久しぶりに聴いてみたら、やっぱり良いです。
で、表題の「ベンジャミン・ブリテンへの哀悼歌」は「タブラ・ラサ」に含まれている5,6分の小曲ですが、これがまた凄い曲です。ある意味、前回のシャルパンティエの「マニフィカト」と同じように、繰り返しの音楽なんですが、最後の最後に「あっ!」と思うような終わり方をします。YouTubeにもこの曲は様々な映像をつけていくつもアップされています。Pärt Cantus で検索するとものすごい数がヒットします。中には最後のところがきちんと聞き取れないような奴もありますが、代表的なところで、去年のロンドンの有名なプロムスでの実況演奏をリンクしておきましょう。拍手が起こるまでの数秒間、ぜひ耳を澄ましてください。
映像付きもいろいろあります。ただひたすら仏像がうつる、やたらとテンポが遅い奴もあれば、宇宙の神秘的な映像、ちょっと寂しげな花や樹木の映像、反戦のメッセージ色が強い兵士たちの写真やアウシュヴィッツ、映画「コヤニスカッティ」みたいな感じの奴、でもやっぱり一番多いのは墓地ですね。それも冬の墓地。ただ、今回YouTubeをいろいろ見ていて、これはすごい、と思ったのはこれ。残念ながらブリテン哀悼歌の最後の部分は次の「フェスティナ・レンテ」という曲がかぶってしまって聞こえませんが。ディエゴ・ピニョンという舞踏家だそうです。
10分ほどのメディテーションの時間という感じです。お暇でしたらどうぞ。
というわけで、今回はかなりマニアックなお話でした。最後までおつきあいありがとうございます。
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