この本には70年代にTVで放送された映画ばかり27本が紹介されている。著者の町山智浩は僕より5,6歳若い世代なので、町山と同じように当時のTVの映画を楽しみにしていた僕でも、残念ながら、この中で見たのは4本だけだ。特にその中の2本、「ある戦慄」と「かもめの城」は、たぶん町山と同じ放送を見たんだろうと思う。
映画は文学ではない、映像を語るべきでそこに文学性(お話)を持ち込むべきではない、というのが一時のはやりだったような気がする。しかし、この町山の映画の語り方はむしろ映画の作られた時代や、映画そのもののお話性と、原作、演じた俳優たちのエピソードが多く語られ、さらには自分の生い立ちと関連して、その映画をTVで見た頃のことも交えて書かれている(だから「トラウマ」映画館なんだろう)。正直に言って難しい映像論より、こっちの方が断然おもしろい。
見てもいない映画の話を読んでもなぁ。。。と思うかもしれないけど、むしろ逆。読んでいくうちに見たような気になるし、見たくなる。それに、関連して挙げられる映画の中には見たものもたくさんある。だから、全く退屈しない。ただ、見たくなっても、ここで扱われている映画は多くがDVDになっていないそうだけど。
ぼくもこの時代にTVでみた映画の中で、今でも忘れられないものがいくつもある。ただ、ここで町山が書くほど詳しく覚えていないし、題名すら忘れてしまったものも多い。たとえばタイロン・パワーが主演した映画で、沈没した船からボートで逃げた人たちの葛藤を描いたものがあった。題名はもう覚えてない。オペラ歌手の太ったおばちゃんが力尽きるシーンは怖かった。
あるいは、カーク・ダグラスの主演した「ガン・ファイター」。最後の決闘でカーク・ダグラスはわざと自分のピストルから弾を抜いておくんだった。
またあるいは、デボラ・カーとケーリー・グラントの恋愛映画はなんて言ったかなぁ。船で恋に落ちた二人が1年後のエンパイアステートビルで会う約束をするけど、デボラ・カーが交通事故に遭っちゃうやつ。
ほかにもランドルフ・スコット(こんな名前がすぐに出てくるとは思わなんだ)の主演したB級西部劇の数々。当時のTVではそういうB級の西部劇をずいぶんやったような気がする。
あるいは、ハンフリー・ボガートの「マルタの鷹」とか、「シェーン」でおなじみの超二枚目アラン・ラッド(わたしは美男俳優ナンバーワンだと勝手に思ってるけど)の「いるかに乗った少年」なんてのもあった。「シェーン」と言えば、殺し屋ウィルソンのジャック・パランスの「攻撃」って言ったかなぁ。戦争映画で、最後、復讐の直前で息絶えるパランスの怖いこと!!
うーん、こうしてみると、町山智浩がTVで見た映画に比べて、5歳ほど上の僕がTVで見た映画は、はるかに健全なものだったのかなぁ。。。あまりこの町山の本で書かれているようなアブナイ、トラウマになりそうな映画って記憶にないのは、僕がぼけだったのかなぁ。。。
良ければ、下のボタンを押してみてください。

にほんブログ村
- 関連記事
-
スポンサーサイト
trackbackURL:http://tatsuya1956.blog48.fc2.com/tb.php/730-9342250d