高校1年の時だったと思う。ずる休みするほど肝が据わっていなかったし、病気だったとも思えないので、試験期間だったのかなぁ?それとも土曜日だったのかなぁ?何しろ昼間の日本シリーズを見たんだから。
山田久志。実に美しいフォームのアンダースロー。空前絶後だったなぁ。振りかぶった後、下から投げるときのテークバック直前の上半身のたたみ方が、直角にパタンと折れるような、一種異常な美しさ。真似しなかった??僕はしたよ。阪急にはもうひとり足立っていうアンダースロー投手もいて、こちらはたしか当時の一試合での奪三振記録をもっていたはず。ただ投げ方は山田よりなめらかな感じだったと思う。二人とも技巧派と言うより速球派という感じだった。
当時の阪急にはいいピッチャーがたくさんいたんだよね。左の梶本はもう晩年だったけど、後に阪神にトレードで来た米田とか、しばらく後になると今井雄太郎とか。これより5年ぐらい後だけど、山口高志なんて選手生命は短かったけど、剛速球投手で、小柄だったけど投げ方がこれまた独特で、投げた後に背番号が見えるんじゃないかっていうぐらいの豪快な感じだったんだよね。日本シリーズで広島の衣笠とか山本とかが顔の高さのボールを次々と空振りしていたっていう印象があるね。あれは衝撃的だったなぁ。
ま、話はアンダースローでした。そういえば、昔は個性的なアンダースローって結構いました。さすがに南海の杉浦や皆川、あるいは大洋の秋山なんていうのはリアルタイムで見てないけどね。広島の金城(かねしろ)なんてテークバックの時に右手が真上に伸びて、とっても個性的だった。阪神の上田なんかもスローカーブがピンポン球を逆回転かけて投げているみたいにすーっと地面を這うような感じだった。どちらも20勝しているはず。
そうそう、過日惜しまれつつ亡くなった小林繁も、アンダースローと言うよりサイドスローかもしれないけど、むちゃくちゃ個性的だった。カックン、カックンって感じで、みんなフォームを真似したよね。
最近ではロッテの渡辺ぐらいでしょう?アンダースローでエース級って。なんでかなぁ。やっぱり盗塁されやすいから??
これまた昔ロッテにいた坂井というアンダースロー投手なんか、阪急の盗塁王福本に対して、13球続けて牽制球を投げたけど、打者に向かってようやく1球目を投げたら、すでに福本は2塁にいたという伝説があるぐらい。これなんか福本のすごさ以上に坂井投手のモーションの大きさを物語る逸話じゃない?いずれにしてもアンダースローって昔からフォームが大きいので盗塁されやすいと言われていたっけ。
さて、細かいことはほとんど覚えていない。読売と阪急の日本シリーズ。当時ひょろひょろのやせっぽちの華奢な感じの山田投手が9回2アウトまで読売に得点を許さず、1-0だったと思うけど、阪急リードだったんだよ。そこで3番の長島、ぼてぼてのショートゴロだったんだけど、ショートの坂本っていったかなぁ、追いつかずにヒットにしちゃったんだ。そして打順は4番の王。ってことは、ここまで山田はヒットをほとんど許してなかったってことだね。しかも王はこの日山田に全くタイミングが合ってなくて、山田もすっかり自信満々だったんだと思う。
初球はど真ん中の直球。王が見逃してワンストライク。で、二球目も全く同じど真ん中の直球。打った瞬間にホームランだとわかったね。僕はこの頃はすでに阪神ファンでアンチジャイアンツだったからものすごいショックだった。TVを見ながら呆然としていた。マウンド上の山田のショックたるや、言葉にできないものがあったんだろうね。王がベースを一周してホームインし、読売のサヨナラ勝ちが決まっても、ずぅーと、ずぅーと、ずぅ~~~とマウンド上に座り込んだまま、右手で土をつかんでは捨て、つかんでは捨て。。。
阪急ナインもベンチに戻ってきて、そのとき、
西本監督がマウンドに歩み寄って山田の肩に手を置き、さあ、帰ろう、っていう感じで山田をベンチに連れ帰っていったんだ。監督だってはらわた煮えくりかえる思いだっただろうし、泣きたいぐらい悔しかったと思う。でも
西本監督は普段通りの表情で、マウンドでうずくまっていた山田を迎えに行った。なにか映画のシーンのように格好良く、そして美しいと思った。なにかとてつもないものを見たと思った。感動していた。
多くの人が勝者の「王の逆転サヨナラホームラン」として記憶にとどめているのだろうけど、僕にとっては敗者の
山田久志と
西本監督の姿だけが記憶に残っていて、たぶんテレビカメラがずっと写し続けていたはずの王がどんなふうにホームインしたかは全く覚えていない。
例によって記憶だけに頼っています。たぶんネットで検索すればもっと正確なことが書けるんだろうけど、それをあえてしていませんので、間違っていても優しく指摘してね <(_ _)>
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