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映画「ラブレス」(2回目)

2024.02.18.01:13

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反プーチンの先頭に立っていたアレクセイ・ナヴァリヌイが殺された(と言っていいだろう)。権力者による政敵の殺害。これまでも歴史上何度も出てきたシーンだ。記事を見た瞬間、アメリカ映画のアンタッチャブルでショーン・コネリーが殺された知らせを受けたロバート・デニーロ演じるカポネがニヤッと笑うシーンがプーチンと被った。まあ、日本ではウラジミール、シンゾーと一緒に駆けて、駆けて、駆け抜けよう、とかポエムを言って国葬になった人もいたが。

で、思い出したのが、アンドレイ・ズビャギンツェフ監督の「ラブレス」という映画。ズビャギンツェフは21年の夏にコロナに罹患して危篤状態のニュースを聞いて心配していましたが、少し前にどこかの映画祭で審査員だかの一人として登壇したというニュースを見て安心していたところでした。私は今生きている監督の中で一番、それもダントツで一番気になっている監督です。監督作品は5本しかないけど、すべてが桁外れの傑作だと思っています。映像の美と密度と間(ま)の凄さに息が止まりそうになります。でも、謎は謎のままだし、甘さが微塵もなく徹底的で、ユーモアのかけらもなく、見終わっての劇としてのカタルシスなんて微塵もない。ひたすらどうしようもない酷い話ばかりで、風景も寂しく暗く無惨としか言いようのない美しさ 苦笑)こんな映画を作る人とは友達になれないだろうなぁ。

この「ラブレス」についても、公開当時に書いてますが、今回見直してみました。この監督は間違いなく反プーチンなんですよ。それは特に「裁かれるは善人のみ」の中で、川縁でかつてのソ連の指導者たちの写真を自動小銃で撃つシーンではっきりわかります。そこにプーチンは出てこないけど、「新しいやつはもう少し壁にかけておいて熟成させてから撃つ」なんて、あまりに露骨なセリフがありますから。だから、ナヴァリヌイ暗殺のニュースですぐにこの人が思い浮かんだのでした。今、どこにいて、このニュースに何を思っているんでしょう。

「ラブレス」でも途中で反体制派の候補者の選挙資金が盗難にあったというラジオニュースが流れます。これはナヴァリヌイのことでしょう。それに続けて反体制派のボリス・ネムツォフのプーチンを批判する声明が出ます。このネムツォフも2015年にウクライナ介入に反対して暗殺されています。

そして最後はウクライナ東部での内戦とロシアの介入の2014年のテレビニュースが流れます。そのニュースはロシア側から見たウクライナ軍の非道を強調するもの。でも、間違いなくこのどうしようもないぐらい暗いやりきれないシーンでこのニュースが流れてくるのは、ズビャギンツェフ流の皮肉なんだろう。ラストも女はロシアナショナルチーム?のウィンドブレーカーを着こんでルームランナーに乗って走るが、すぐにやめてしまう。

この映画、冒頭とラストが同じ川縁の枯れ木の映像と、無茶苦茶カンに触る音楽で、離婚間近の夫婦が出てくるんだけど、これがもう信じられないぐらい憎み合っている夫婦。他人の前だろうとまるで構わず大喧嘩を始める。そして女の母親というのも、これがもうどうしようもないぐらい娘を憎んでいる。見た感じはかなり裕福な家族なんだけど、特に母親は中毒と言って間違いないぐらいスマホを見続けている。それぞれ愛人がいて、夫婦の間の12歳の少年は完全に邪魔者扱い。僕が男だからだろうけど、父親もひどいけど、母親がひどすぎるよね、と思ったけど、つれあいにこの映画見て感想を、と言う気にはなれないわあ 笑)

というわけでその少年が行方不明になるんだけど、警察もまるでいい加減で、ロシアの社会がかなり壊れているのがわかる。救いは民間のNPO?の救助隊(そんなものがロシアにはあるのね)。ボランティアなのに、親身になって、警察と連携しながら大人数で夜遅くまで捜索を、多分何日間もしてくれる。果たして子供は見つかるのか?

だけど、俳優もすごい。こんな演技できる俳優、日本にいないだろうなぁ。特にあのラスト10分前のシークエンスの母親も父親もものすごい。あれ演技じゃないだろ!

というわけで、ナヴァリヌイ暗殺から変なところへ来てしまったけど、夫婦の間がこんななのに、世界の平和なんて無理だわ、というのが、この映画のテーマなんだな。この夫婦はロシアという国の比喩なんだろうなぁ。そして子供は、文字通りロシア・ウクライナの子供なんでしょう。ラストシーンのルームランナーも「ロシア」が走り出して、でもルームランナーだから前に進まず、すぐにやめてしまう。徒労感。。。そんなふうに思ったのでした。


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アンコウ

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あんけ・たつや。欧州ロードレースに興味を持ってすでに30年以上。主にドイツ人選手を応援。特に青田刈りにいそしむ。歳にも関わらず、あらゆる点ですごいミーハー。そのほか好きなものは、読書、音楽はバッハと友川カズキ、北方ルネサンス絵画、映画、阪神タイガース(村山、江夏以来ですが、強すぎないこと希望、弱すぎはもっと困るが)。北欧の社会民主主義に対する憧れ強し。家族構成は連れ合いと娘三人。

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