
むちゃくちゃ面白かったぁ。いや、バッハ以前から、バッハ、そしてベートーヴェンぐらいまでは、社会や時代との繋がりって、知識としては知っていたつもりだったけど、それが今現在と繋げて語られると、改めて目から鱗の気分だった。知らないことも、考えたこともなかった繋がりも、いろいろ「過激に」教えてもらった。
今の時代に、右肩上がりのイケイケドンドンのベートーヴェンを聴くこと、「このバカバカしさをひそかに感じていなかったらウソだろう」(p.36) とか、このSDGsの時代に、「ベートーヴェンを聴いているかぎり、どんどん熱くなって、地球温暖化も進むのかも。ベートーヴェンの音楽にとって、「熱くなる」のは絶対善なんだから」(p.128) なんて、そういうふうに自分が今、生きている時代のなかで、この時代をつなげて考えることなんて、あんまりなかったからなぁ。
特に面白かったのは最終章の現代音楽のところ。著者たちと僕は世代的にほぼ同じだから、1970年の大阪万博に修学旅行で行った時、ドイツ館ではたしかにシュトックハウゼンのキュ~~、ピポパポってのが流れていた。池袋の西部美術館は何度も行ったし、アール・ヴィヴァンで画集や現代音楽やホーミーのCDを買ったものだった。
そういうリアルな記憶と共に、ここで東西冷戦化での文化的な競争が、一方で前衛音楽やプレスリーやビートルズが自由を謳歌し、それに対してソ連では個人(自分の思い)を消すことが生き残る道だった。この自由の謳歌を後押しするために、前衛音楽に投資支援されていたけど、東西冷戦が終わるとともに、それは消えていったなんて、そう言われてみると、なるほど!! だ。
「音楽」の背後の頑強なイデオロギー性に無自覚に、グルメよろしく美的にのみ消費する、というのはやっぱり危うい。あまり無邪気に「音楽って、いいですねぇ」とは言いたくない。(p.335)
おっしゃるとおりです。ごめんなさい。
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