国連の障害者権利条約というものがあります。ヴィキペディアの文言を借りれば、「あらゆる障害のある人の尊厳と権利を保障するための人権条約」ということになります。詳しくはこちらをどうぞ。
ヴィキペディア「障害者権利条約」 これは2006年末に国連総会で採択され、現在98カ国が批准していますが、日本はまだ批准していません(後記2015年5月12日追記:2014年に批准しました)。先進国で批准していないのは、北欧の、障害者権利条約にうたわれている以上の高福祉国を除けば、ロシアとアメリカの困った二人組(後記2015年5月12日追記:ロシアは2012年に批准しました)。しかし、もう一つ気になる中国は批准してます。EUの国々で批准していない国がありますが、EUはまとめて集団批准しています。詳しくはこちらをどうぞ。
Convention on the Rights of Persons with Disabilities この条約を批准するために法の改正が必要ということで、民主党政権になり、内閣に「障がい者制度改革推進会議」が作られ、当事者も加わって様々な議論が繰り返されてきました。これは確かに画期的なことでした。
そして先日、障害者基本法の改正案の素案が発表されました。
これについては先日も書きましたが 、文言を見ると笑っちゃいます。
友人が教えてくれた北海道新聞の記事からいくつか文言をピックアップしてみます。
●障害者は、
可能な限り 、どこで誰と生活するかの選択の機会が確保される。
●国、地方公共団体は、障害のある子供、保護者が、
可能な限り 地域社会で支援が受けられる必要な施策を講じなければならない。
●障害を理由とする差別を防ぐため、
負担が過重でなければ 、社会的障壁をなくすために合理的な配慮をしなければならない。(下線ヴァルデマール)
悪い冗談だろ?っていうぐらいです。【言うまでもなく、「可能な限り」というのは、可能ではなかったんですという言い訳、「負担が過重でなければ」というのは、負担が過重だったんですっていう言い訳のために付け加えられた文言で、もうすでに、この時点において、行政が逃げ場を準備しているわけ。いうなれば、「障害者はどこで誰と生活するかの選択の機会が確保される、なんちゃって」って言ってるようなものですね。こんな建前を繕った文言で国連の条約を批准しようだなんてのも、かなり図々しい話であります。3/2, 22:20 追記】もちろん、これについては笑ってばかりもいられない。上記の「障がい者制度改革推進会議」での意見が反映されていないとして、各障害者団体だけでなく、日弁連からも批判の声が上がっています。
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