恒例のぎっくり腰。拙ブログはもうすぐ14年目に突入ですが、いったい何回やってますかね? 都合何日寝込んでいるんだろう? そのうち数えてみましょう 苦笑)
というわけで横になって読んでたのがこの本。
表紙と裏表紙を合わせると、いや合わせなくても色合いだけでブリューゲルの狩人の帰還の左右逆のパロディだってわかる。ちなみに本を開いてパソコンのBGと並べるとこんな。

まあ、
以前も書いたけど、この狩人の帰還をパソコンのバックグラウンドにしている僕としては、この表紙だけでも読んでみたくなりますが、17世紀半ばから末までの話なので、16世紀半ばのブリューゲルのこの絵はちょっとどうかなぁ。。。笑)
1750年ごろから1790年代中頃までのフランドルのヘントの南、たぶん架空の街(?)シント・ヨリスを舞台に亜麻糸商のファン・デール家の双子の姉弟のヤネケとテオと、養子で引き取った一つ年上のヤン・デ・ブルークの話。
この佐藤亜紀という人の小説、以前拙ブログでも
「スウィングしなけりゃ意味がない」というナチスの時代のハンブルクを舞台にした小説を紹介したことがありました。あの時も感じたんだけど、会話の口調が現代風なのはわざとなんでしょうね。今回は特にヤネケ(女性)のセリフが『〜なのよ』みたいな女性言葉はほぼ使わない。なんとなく進撃の巨人のミカサのセリフっぽかった 笑) まあ、このこの時代のヨーロッパなんてミソジニーが常識だっただろうから、その中で自由に生きる女性としての言葉遣いってことなのだろうけど。。。
お話は養子のヤンと双子の姉のヤネケがデキちゃって子供が生まれると、ヤネケはベギン会という、片足を修道院に、もう片足は世間に置いてるような、緩い修道院みたいな組織に入ってしまう。で、そこで何をするかというと、これが学問。ヴォルテールやライプニッツやアダム・スミスを読み、ハレー彗星の軌道計算をしているフランスアカデミーの女性数学者と文通しながら、自ら「確率論」や「富の数学的原理」という本を、弟のテオやヤンの名前で出版して、ヴォルテールから手紙をもらったりする。
フランスだとこの本にも出てくるように女性の学者というのが実際いたようだけど、フランドルだから 笑) 学問に取り憑かれてしまった、そもそもが才能豊かなヤネケに対して、ヤンの方は未練たらたらなんだけど、彼女の自由を尊重し、彼女との間にできた子供レオを引き取り、自分は結局2回の幸福な結婚生活を送って、いよいよ60も近くなり、だけどヤンはまだヤネケに対する思いを断ち切れない。。。いろんな人が登場しては退場していき、そして時代は、イギリスの産業革命とラッダイトの波がフランドルにもおしよせてくる予感の中、ベギン会もヤンの亜麻糸や織布の世界も変わっていくだろうということが暗示され、最後はフランス革命があって、フランス共和国軍によるベルギー占領の時代。。。
まあ、ネタバレはしてません。ヤンの二度の結婚も最初の登場人物紹介を見ればわかるしね。個人的には舞台がフランドルというのが魅力的だし、ベギン会のベギンホーフは昔旅行でブリュージュで見たことがあるし、ベギン会の女性たちの生活も興味深いし、なによりこういう長い時の流れの中で展開していく話は、この年になるとそれだけでも心打つものがある。
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