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40年ぶりのフェルメールは。。。

2022.03.15.14:40



前にも書いたように、1991年の冬、ドレスデンへ行きました。ドイツ統一直後の時期でしたが、冬で寒くって、観光客などほとんどいませんでした。だから美術館もガラガラ。というより、おぼろな記憶ですが、多分建物を新しくするために(?)作品は仮展示状態で、大きな倉庫のようなところに並べられていたんだと思います。建物の入り口へ行ったら係の人が迷路のような廊下を案内してくれて、この先だと教えてくれた記憶があります。

記憶に残っているのはラファエロのシスティナのマドンナと呼ばれる巨大な絵や小さなヤン・ファン・エイクの携帯用三連祭壇画で、フェルメールのこの絵もありましたが、当時はフリードリヒとかリヒターというドイツロマン派の絵画に興味があった頃なので、そっちが強く印象に残ってるかなぁ。と思って今調べてみるとフリードリヒやリヒターはこの「アルテ・マイスター絵画館」ではなく、「ノイエ・マイスター絵画館」にあると出ています。

だけど僕は同じところで見た記憶があるんですよねぇ。。。なので最初に書いたように、東西統一直後で美術館も改修中で、作品群は全部まとめて置かれていたんじゃないかと思うんですよね。駅のキヨスクみたいな売店では普通のカタログもなく、フリードリヒはないのか?と聞いたら、「ないよ」とあっさり言われたのでした。東独時代にはドイツロマン派なんて軽視されていたのかもしれません。仕方ないので数枚のポストカードと、ひどい印刷のリヒターのカタログ(?)だけ購入したのでした。上の写真の右側のカタログは当時買ったものではなく、ずっと後になって古本屋で見つけて購入したものです。当時はフェルメールを全面にアピールしてるものなんかなかったですね。と言いながら、ポストカードはしっかりこの絵も買ってました 笑)ただ、ひどい印刷でねぇ、特にファン・エイクの方なんかあんまりじゃない?? 

IMG_5443.jpg

裏にはDDR(東ドイツ)とあります。さすが東独クオリティ 笑)
IMG_5444.jpg

リヒターの方はこれ。



リヒターという画家は無名ですが、下の絵のように、森の中で舞台のスポットライトのように黄金色の光を当てて非常にロマンチックな絵を描いた人です。ただし、この印刷も東独クオリティ、かなりひどいです 笑)



というわけで、話を戻して、最初の写真です。僕が当時見たのはむろん右側ですが、今日本に来ているのは左側。1970年台からすでに後ろの壁にはなにか塗りつぶされた跡があるとわかっていたようですが、フェルメール自身が塗り潰したのだろうと思われていたようです。2007年に出た朽木ゆり子「フェルメール全点踏破の旅」で確認すると、学芸員がフェルメール本人が塗りつぶしたと言っていますが、これも仕方ないかなと思われます。というのはカーテンの後ろに最初はテーブルとワイングラスが描かれていたのを、これはフェルメール本人がカーテンを描いて塗りつぶしたんだと。この学芸員は、フェルメールはそうやって引き算をしながらこの静謐な画面を作り出したというようなことを述べているんですが、、、

ところが、最新の科学的な調査というのは、残酷にもあらゆる先入観を吹っ飛ばしますね。顕微鏡で見ると、壁の方は、塗りつぶされたのがフェルメールの死後であることがわかってしまいます。誰が塗りつぶしたかは謎ですが、この絵は18世紀中頃にパリで購入されてドレスデンへやってきたそうで、その際もレンブラント作とされていたそうです。どうもこのパリからドレスデンに来る時に塗られたんじゃないかというのが有力みたいですが、、、

そして、2017年から塗りつぶした壁の絵の具を剥がして、4年がかりで修復されて、今回日本に来たのでした。展覧会ではこの修復の経緯をビデオなどを使って紹介していて、それも面白かったです。顕微鏡を見ながら解剖用のメスで削り落とすなんてのは、僕には絶対できないな 笑)

ただ、この修復がはなはだ評判悪い 笑)この余白がよかったのに、ここにキューピッドの絵なんてうるさすぎるし、なにより、この娘が読んでいる手紙がラブレターであることを露骨に暗示しているというわけで、フェルメールのファンからはボロカス言われているみたいです 笑) たしかに以前の方が瞑想的で、手紙を読む女性の横顔に集中して、不安な手紙を読んだ自らの経験を思い出させられたりしたんでしょうね。

ただ、私はあまり違和感なかったなぁ 苦笑) フェルメールの絵って後ろの壁になにか絵や地図が掛かっている絵の方が多いでしょう? ちなみにアムステルダムにある有名な牛乳を注ぐ女の絵もバックの壁には何かが描かれているのがわかっているそうで、そのうち剥がされるのかもしれません。

それと修復の結果として、絵がずいぶん明るくなりました。壁以外にも手前の果物なども、全体が夕日から朝日のイメージになったような感じで、これはこれでいいんじゃないかと思いましたね。どっちが好きって聞かれたら、どっちも好きと答えたい。あ、ずるい 笑)


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アンコウ

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あんけ・たつや。欧州ロードレースに興味を持ってすでに30年以上。主にドイツ人選手を応援。特に青田刈りにいそしむ。歳にも関わらず、あらゆる点ですごいミーハー。そのほか好きなものは、読書、音楽はバッハと友川カズキ、北方ルネサンス絵画、映画、阪神タイガース(村山、江夏以来ですが、強すぎないこと希望、弱すぎはもっと困るが)。北欧の社会民主主義に対する憧れ強し。家族構成は連れ合いと娘三人。

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