
高校時代昼休みになると図書館でこのジョルジュ・ド・ラトゥールの画集を眺めていた時期がありました。大好きでした。まあ、この画家、人間的にはかなり酷えやつだったらしいけど 笑)
というわけで、そのラトゥールの絵が表紙のこのミステリー、その噂を聞いて読みたい本としてだいぶ前からマークしてたんだけど、
先日書いたTVドラマの「相棒」の脚本を書いたのが、この小説の作者だと知り、早速読んでみました。
以前映画「新聞記者」で書いたことだけど、やっぱりエンタメは悪役が本当に憎たらしくないといけません。このミステリー小説も、前半のさまざまにミスリードを誘う伏線から、徐々に誰が悪かはっきりしてきて、しかもそれがすげー憎々しいんだわ。ネタバレは絶対避けたいけど、昨今のさまざまな事件を連想させられましたね。
例えば「このような謀略は警察官の仕事ではない。これを許しては、自分はもはや警察官ではなくなる」(下 131) なんてセリフ。きっと公文書改竄させられた赤木さんもこんなふうに考えたんだろうなぁ。
探偵の鑓水とアシスタントの若者修司、停職中の警官相馬の3人が、渋谷のスクランブル交差点で死んだ老人のことを調べることと、失踪した公安刑事を捜すという、それぞれ別の依頼を受けて捜査していくと、その二つがつながり、さらに舞台がドカンと変わって、最後は、え?こんなところに繋がるの?という驚きの展開。
まあ、最後の第3部100ページほどは夜中の3時までかけて一気読みでした。ところで、福島の原発のときも感じたけど、いつまでも後悔し続けるのは反対してた人なんだよね。積極的な原発推進派で後悔した人って圧倒的に少数じゃない? 逆にずっと原発に反対していた小出裕章さんみたいな人が爆発した後になんで自分はもっと強く反対しなかったんだろうって後悔したんだよね。
ナチスの時代もそうで、ユダヤ人を積極的に迫害した人たちは戦後になって頬かぶりするか、言い訳をしたのに対して、ユダヤ人を匿った人たちが、たとえば「シンドラーのリスト」のラストの台詞のように「もっとたくさん救えたはずなのに」って後悔する。この小説でも渋谷で死んだ老人と白狐の二人は同じように。。。おっと、ネタバレしない、しない 笑)
でも、一つだけ、ネタバレに近いかなぁ。。。最後は野党にリークするかと思ったんですがねぇ。。。苦笑)
そう、安倍のもとで作られた秘密保護法から入管法に至るまで、数々の悪法が成立しても、反対している人は考えすぎだと言う人がたくさんいたわけだけど、作者の思いはきっと次のセリフに集約されているんだろうなぁ。
「覚えておいてください。闘えるのは火が小さなうちだけです。」(下 149)
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