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ヒトラー最後の12日間

2021.09.15.11:35

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見たのは何度目だろう。記憶にある限りでも3回は見てる。なにしろ息苦しいんで、そうそう繰り返し見ようとは思わないんだけどね。2日前にNHKのBSでやってたので思わず録画して見ちゃいました。

最初に見た時はヒトラー周辺とベルリンの一般市民の話がごちゃごちゃしていて、なんか集中度が足りない気がしたんだけど、監督の意図は、ヒトラーと彼を囲む上層部のどうしようもなさと、ベルリンの一般市民の苦しみの対比で、それを繋ぐのがあの禿頭のクリスティアン・ベルケルがやった軍医なんだな(このベルケル、サイコサスペンス映画の傑作でナチスの暗喩にもなっている「エス」とか、デンマークの暗殺者の映画「誰がため」のドイツ人将校とか、ヒトラー暗殺計画の「ワルキューレ」で暗殺をベルリンから指揮する将校とか、強面のわりに良い人の役を演じることが多い気がする 笑)。

で、ゲッベルスとヒトラーがそうした一般市民の苦難について、それぞれ同じようなことを言う。

現場での防衛の指揮をとっていた武装親衛隊のモーンケがゲッベルスに、武器のない市民軍が犬死していると訴えると、ゲッベルスは「彼らが選んだ運命だ。我々は国民に強制していない。彼らが我々に委ねたのだ、自業自得だ」と言い放つ。

また国民を心配する軍需大臣シュペーアに対して、ヒトラーもこう言う、「我が国民が試練に負けても、私は涙など流さない。彼らはそれに値しない。自分で選んだ運命だ。自業自得だ。」

この二つのセリフが映画の一番の主張だと思った。失敗した権力者たちの呆れるほどの無責任さ! 

ヒトラーはドイツ国民のほとんどが支持したと思われているかもしれないけど、ワイマール共和国時代に行われた選挙ではナチスは全体の3分の1の得票率で、共産党とそれほどの差はなかった。人々がこぞってハイル・ヒトラーとやっている記録映像をよく見るが、あれはプロパガンダだ。

そして、3分の1で政権を取った後、最初は共産党を禁じて議員を逮捕し、その議員数が減った国会で過半数となる数字合わせをし、続いてナチス以外の政党を禁止、全権委任法によってヒトラーは大統領と首相を兼ねる総統になった。

たしかにナチスの熱狂的な支持者たちはヒトラーやゲッベルスに「委ねた」と言えるかもしれないけど、その他の普通の人たちは、なにしろ反ナチのビラ巻いただけで死刑だから、別の道を選びようもない。自業自得とはとても言えないだろう。

もっとも、ナチスを快く思っていなかった人たちもほとんどすべて沈黙しているだけだったわけで、沈黙は承認と変わらないと言うなら、自業自得と言われても反論できないかもしれないが。。。まあ、何が言いたいかわかりますね? 笑)

その意味でも、最後に実際のヒトラーの秘書トラウドル・ユンゲが出てきて、白バラという反ヒトラー運動で処刑された女子大生ゾフィ・ショル(これもものすごい映画になっています)の名を挙げて自分の過ちを認めるシーンも、この映画制作者たちが何を主張しているかがわかるでしょう。

映画として、ヒトラーをただのモンスター、悪の権化として描くのではなく、犬を可愛がり、女性や子供に対しては優しく、常に彼のそばに付き添って最後は結婚するエーファ・ブラウンを愛する普通の人として描くのは、まあ当然と言えば当然なんだけどね。作る方としては結構勇気がいっただろうね。少なくとも戦後のドイツはヒトラーという怪物に国民は騙されたのだ、というスタンスが見え隠れしていたから、そういう意味では戦後60年経ってようやく、という気もする。

まあ、拙ブログでは何度も繰り返してきたけど、人間って99.999%の普通の人と0.0001%の悪人がいるわけではないんでね。どんな悪事をした人でも普通の人なんだよ。ただ、そう思うと不安になるからね。悪党は悪党、自分はそうじゃないって切り分けたくなるけど、誰だって同じ条件が整えば同じことをしかねない、という自覚が大切だと思う。まあ、何度も書いたことだけど 笑)


さて、この映画、見るたびに残念なのは、前にも書いたけど、名優ブルーノ・ガンツの顔がヒトラーが残念ながら、見れば見るほど似てないってことだ。突然ヒステリックに怒鳴り出し、その場の感情まかせの、判断力などありゃしない人間性は、きっとヒトラーってこういう人だったんだろうと思わせる迫力があるけどね。でもこの時のガンツは60代半ば、ヒトラーは55で死んでるからねぇ。ちょっと老けすぎだったよね。

ついでに言うと非常に特徴的な顔をしたウルリヒ・マッテス(この人は「9日目」という映画で神父役でとても良かった)がやったゲッベルスも、足を引きずり体を傾けて歩く格好は、きっと本物もこうだったんだろうと思わせるけど、やっぱり顔はまるで似てない。

ハイノ・フェルヒのシュペーアと「検事フリッツ・バウアー」でタイトルロールをやったウルリヒ・ネーテンのヒムラーが雰囲気出てたかな。

まあ、ほとんどがコンクリート地下壕ブンカーの中だし、たまに外に出れば戦闘シーンだし、見るのにそれなりの覚悟がいりますが、ネットで登場人物などのおさらいをしてから見れば、見終わってそれなりの思いが強烈に残るだろうと思います。


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アンコウ

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あんけ・たつや。欧州ロードレースに興味を持ってすでに30年以上。主にドイツ人選手を応援。特に青田刈りにいそしむ。歳にも関わらず、あらゆる点ですごいミーハー。そのほか好きなものは、読書、音楽はバッハと友川カズキ、北方ルネサンス絵画、映画、阪神タイガース(村山、江夏以来ですが、強すぎないこと希望、弱すぎはもっと困るが)。北欧の社会民主主義に対する憧れ強し。家族構成は連れ合いと娘三人。

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