ちょっと古いニュースだけど、やっぱり書いておこう。
名古屋入管で亡くなったスリランカ女性の情報公開請求によって開示された文書のほとんどが黒塗りだったというニュースは3、4日前だったか?
弁護士が直接入管で交渉したら情報請求したら出しますと言われたという前段があって、請求したら真っ黒だったと。しかも情報公開制度を使うと実費が請求されるんだそうだ。
死んだ娘の死に至る状況を知りたくて駆けずり回り、制度があるのでそれを使えと言われて使ってみたら真っ黒な紙を大量に渡され、コピー代として15万以上の金額請求。
どこかで聞いた話だと思いながら、どうもスッキリしなかったんだけど、さっきふと思いついた。
ナチス政権時代のドイツでは、ナチスやヒトラーを批判したり戦争反対のビラを撒くという、現在の日本からみたら随分ショボいと思われるような抵抗が行われていたことは拙ブログでも何度か本や映画を紹介したことがある。
對馬達雄「ヒトラーに抵抗した人々」ファラダ「ベルリンに一人死す」(ネタバレ注意)映画「ヒトラーへの285枚の葉書」(いろいろネタバレ)だが、ビラを撒いた人たちはみんな死刑にされた。そして遺族は後日死刑執行費用の明細が書かれた請求書を受け取った! 内訳はこんな具合。
死刑料 300マルク
郵送料 1.84マルク
弁護人費用 81.60マルク
未決勾留料 44マルク
刑執行判決執行手数料 158.18マルク
本請求書送達料 0.12マルク
計 585.74マルク(平均的労働者2ヶ月分の給料相当)
(TBSブリタニカ 池田浩士「抵抗者たち」から)
行政が不当に殺害した人間の殺害費用を遺族に請求する官僚機構のおぞましさ。だが、ナチスの場合は「法に従って執行」したのだという自負が見られる。たぶん関係書類を請求すれば黒塗りになどせず、そのまま開示しただろう。
一方で振り返って今回の書類を黒塗りにしている慌てぶり。黒塗りにすべき文章を指示したのは誰? その文章を黒塗りにした根拠は何? その根拠の正当性は? むろん元の文章に何が書かれていたかがわからなければ検証もできないが、もし検証したら、いくらでもボロが出そうだし、指示した権力が恣意的におこなっているとしたら、行政としての一貫性が揺らぐんじゃないだろうか。
(どっちがタチ悪いかと言えば、ナチス式の方がたぶんタチが悪いだろうと思う。例の凡庸な悪のアイヒマンのことを考えればわかるだろうけど、法に従って「悪」をなした、職務に忠実に、人として誠実に行ったのだというのは、本人の良心はどう思っているかわからないけど、少なくとも対外的には罪の意識など持たずに済むだろうからね 苦笑)
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