
ものすごく面白かった!! 3時間の長尺だったけど、終わってしまったらあっという間。映画の中に埋没して我に返るいとまもほとんどないほど。でもそれは説ブログを始めてから僕が関心を持ち始めたものがドンピシャでど真ん中に投げ込まれてきたという印象をもったからかもしれない。
主人公のモデルはゲルハルト・リヒターという画家だ。この人は去年の初めに中野区で行われた「ナチスの障害者虐殺・T4作戦パネル展示」でも出ていて説明されていた
(その時の記事はこちら)。あのときは、様々な当時の資料や手紙の中で、突然リヒターの話が出てきて、ちょっと唐突な感じがしたんだけど、この映画を見るとリヒターの芸術が個人的なT4作戦のトラウマ克服のためのものだったことがわかる。



映画の作りとして前半はナチス時代の退廃芸術に対する批判と東独時代の社会主義リアリズムの時代で、どちらも芸術は民族のため、あるいは人民のために奉仕するべきものだと言われる。自分を強く押し出したり、権力が望むものと違うことを主張するとダメ出しのレッテルを張られてしまうわけだ。普通に見ていれば誰だって、どっちもおかしいと思うだろう。でも今の日本でも「反日的」なアートを批判するような人もいるわけだからね。
後半は一転して一人の芸術家が自分のスタイルを見つけるまでの話になるが、ここで出てくるヨーゼフ・ボイス(名前は別だけど誰が見てもそれ以外の誰でもない 笑)との話も面白い。要するに前半と後半とは描かれるものが随分違うんだけど、どっちも面白い。
そして全体を通して義父の存在が重要で、ハラハラやイライラの元になるのがとてもうまい。彼の存在が3時間を退屈させない理由の一つかもしれない。
変な映画ばかり書いてる説ブログだけど、これは正統派の、細部まで疎かにせず、ユーモアもあり、テンポもよく、画面も綺麗だし、全体的なレベルのとても高い映画だと思う。いつも拍手コメントをくださる t さんもきっとお好きな映画ですよ。
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