このところNHKのBSで昼過ぎに色々昔の映画を放映してくれてます。で、「猿の惑星」なんかやってて、初めて見たのは中学の時かなぁ、 もちろんTVでした。当時中学生でも、やっぱりラストはびっくりでしたが、ヒッチコックの「鳥」もほぼ同じ頃に見た記憶があり、どっちも通常見ていたハッピーエンドの映画と違っていて、強く心に残ったものでした。
「猿の惑星」はその後30年ぐらい前? 大晦日に全5作を一挙放映したことがありました。今回それ以来、多分30年ぶりですかね 笑) しかし今見るとツッコミどころ満載でした。しょっぱな、宇宙船の中でチャールトン・ヘストンは葉巻をプカプカやってるし、湖に不時着した宇宙船は浸水しちゃうんですからね 笑) なんぼ着水のショックがあっても、そんなはずないだろ!と思わず一人で見ながら言葉が口をついちゃいました 笑) しかも、こんなこともあろうかとばかりに、ゴムボートまで用意されてたりしちゃう 笑)
猿のザイアス博士が事実を知りながら、あくまでもそれを認めず証拠隠滅するところなんか、中世の異端審問を思わせますし、ひょっとしてアメリカの進化論を罵倒するキリスト教原理主義者揶揄か、とか、かなり強引につなげれば、現在の日本も似たようなものかも、とは思わせますが、まあ同じ年に作られた「2001年宇宙の旅」と比べたら。。。笑)
一方で「アラビアのロレンス」。これは言わずと知れた傑作ですが、今回BSで放映されたのは1988年にスピルバーグらが復元した4K完全版。僕は高校時代にリバイバルで、テアトル東京というでっかいスクリーンの映画館で見ましたが、正直に言えば、内容はよく理解できなかっただろうと思うんだけど、それでも砂漠のスペクタクルシーンに圧倒されました。
当時のパンフがありました。奥付は昭和46年とあります。
その後やっぱり30年ぐらい前に貸しビデオ屋で借りて見たのが最後で、これまた30年ぶりぐらいでした。当時ピーター・オトゥールって映画好きの友人らとよく話題にしていたお気に入りの俳優でした。
http://tatsuya1956.blog48.fc2.com/blog-entry-1561.html 今回見直すと、オマー・シャリフの立ち姿の美しさにびっくりしましたね。この後、アラブ人特有の濃い顔なのに、ロシア人になって「ドクトル・ジバゴ」や、ドイツ人になって「将軍たちの夜」では同じドイツ人役のピーター・オトゥールを追い詰めようとしたり、世界的な俳優になりました。
映画は、ロレンスのオートバイ事故死から、葬儀後のロレンスを知る人たちの言葉がいくつか続いて、ポンと20年の歳月を遡る形で始まります。今回見直してもやっぱりいくつもびっくりするようなシーンがありました。ロレンスがマッチの火を吹き消した瞬間に日が昇る直前の真っ赤な砂漠になったり、無論超有名なオマー・シャリフが現れる井戸のシーンも、砂漠の小山の向こうを行く船の煙突のシーンも、アカバ攻略の俯瞰シーンも、まあ、言い出したら終わらなくなりそう。
ただ、今回ラストのシーンが(僕なりの)新しい発見でしたね。アラブのために一生懸命になり(人もたくさん殺したわけです)、結局イギリスの二枚舌外交のせいでアラブを裏切ることになったロレンスが、失意のうちに帰国が決まり車に乗っているとオートバイが追い抜いていきます。その直後に映画は The End となりますが、あのオートバイが、映画冒頭の20年後のシーンにつながるわけです。
同じようなことはもう一つあります。ラスト近く、同様に失意のままイギリスの軍本部を出て行こうとすると、一人の将校がロレンスに握手を求めます。その時ロレンスが「前に会ったことがありましたっけ?」と尋ねます。将校は否定します。この将校、冒頭の葬儀のシーンでロレンスの悪口をいうジャーナリストの言葉を聞きつけ、抗議しながら、ダマスカスで彼と握手したと胸を張る老紳士ですね。
ということは、あのシーンでのロレンスの台詞はなんなんでしょう?「前にあったことありました?」 ロレンスはここで観客のためにこのセリフを言っているのですね。いわばメタ映画的なセリフなんじゃないか、そんな気がします。上記のオートバイといい、この4時間近い映画はラストで冒頭に戻るという円環を閉じたような形になっているのではないでしょうか?
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