
今日(9月13日)から東京渋谷のイメージフォーラムで上映が始まりました。お昼の12時半から夜の8時半過ぎまでの長丁場。昔タルコフスキーの
「僕の村は戦場だった」、
「アンドレイ・ルブリョフ」、
「惑星ソラリス」、
「鏡」の4本立てという無茶苦茶な 笑)オールナイトを大井町にあった映画館で見たことがありましたが、一作だけでは映画館で見た一番長い映画でした。
以前ここにも書いたソ連版「戦争と平和」も昔オールナイトでみましたが、あれだって全4部で7時間弱(いろんな版があるみたいですが)。
とこで、初日でしたが、どうでしょう?4割ぐらいの入りだったかなぁ。明日は監督のタル・ベーラの講演があるのですが、気が付いた時にはすでに予約で満席でした 涙)
しかし、昨日は自転車に7時間以上乗り、今日は映画で7時間以上 笑) 疲れが出て途中で寝ちゃうんじゃないかと不安だったんですが、瞬間的に意識が飛んだ瞬間がなかったとは言いません 笑)が、なんとか持ちました。
お話はどこかでこんな話を見たことがあるな、と思っていたんだけど、途中で、
拙ブログでも紹介したことのある韓国アニメの「FAKE 我は神なり」だ!と思いました。無論あちらではカルト宗教がらみの詐欺の話でしたが、こちらはむしろ警察のスパイの詐欺師の話です。
ある貧しい農村が舞台。荒れてて、それぞれ村人同士で不倫しあってたり、村落で集めた金を持ち逃げしようと画策していたり。。。しかも秋の雨季が始まり村は泥だらけ。辺りの風景は平野で単調な道の脇に時々枯れ枝ばかりのような寂しい10本程度の木の生えた林があるだけ。
そんなところへ2年前に死んだと言われていた男が帰ってきて預言者のように弁舌巧みに振舞い、新たな農村コロニーのようなものを作ると称して村人たちの金を巻き上げてしまう。しかしてその実体は警察のスパイで、農民たちのことを警察に報告している。そしてそんな村落の様子を、家の中から双眼鏡で観察しているアル中の医者が逐一ノートに書き取っている。。。そして最後の結末もこのアル中の医者が映画冒頭の説明文を繰り返すことで、映画全体の円環が閉じるような作りになっている。。。
ただ、ストーリーはどうでもいいんだろうなぁ。白黒の映像の美しさが特筆ものだし、人々が移動するシーンを全く省略せず、道を歩く人たちの姿を正面から、あるいは背後から延々と映し続ける(背後から近距離で延々と後頭部と背中を写すのなんか、タル監督の助手をしていた
ネメシュ・ラースロの「サウルの息子」の原点がここにあるなと思わせます)。例えば、雨の中、ある家の玄関が写っている。それが30秒ぐらい延々と写され、やっと人が登場して玄関から入る。そしてその後また30秒はそのまま雨だけが振り続ける玄関が写し続けられる。30秒と書いた数字はいい加減だけど 苦笑)、だいたいそんな感じ。誰かが道を向こうに向かって歩いていく。その後ろ姿を延々と写し続ける。多分、あれは500メートル以上歩いているんじゃないかなあ。これまた500メートルという数字はいい加減 笑)
また、お話の真ん中に出てくる少女がすごい。知的な障害があるという設定だけど、歩く姿が、どのくらいだろう?正確にはわからないけど印象としては5分ぐらい延々と正面から映し出されるんだけど(タイマー持って行って測りたかったなぁ 笑)、無表情でものすごい存在感。どこかで見たような雰囲気だな、
「ニーチェの馬」の娘みたい、タル監督はこういう顔が好きなんだろうな、と思っていたんだけど、帰りにパンフを見たら、なんのことはない、「ニーチェの馬」の娘の17年前の姿だった 笑) 「ニーチェ〜」が2011年、この映画は1994年というわけで、この娘はその後タル監督の「倫敦から来た男」でも出ていて、ぼんやりした顔なんだけどやたらと印象的。
さて、7時間以上の映画、何しろ長〜いワンカットの連続で、しかも顔のアップのまま動かず喋らずじっとしているシーンも多く、そういう緊張感ってのは流石に疲れます。雨の中、トラックの後ろに乗った農民たちの顔を写していくシーンはタルコフスキーの「ストーカー」のトロッコのシーンを思い出しました。このトロッコは有名なシーンで、映画史上最も眠くなると言われています 笑) ただ、この「サタンタンゴ」の方は音楽が鳴り続けていますが。
前半では村人それぞれを中心にした1日の出来事が描かれます。その際、同じシーンが別の視点から再現されます。これがかなり面白いです。前のエピソードで描かれたシーンが別の登場人物が見ている形で繰り返されます。それが全部で3回か4回あります。それぞれのエピソードではデブでアル中の医者のエピソードと、上記の少女のエピソードが面白く、あっという間に時間が過ぎたという印象です。後半は預言者然とした詐欺師が中心のエピソードになります。
しかし、もうこれで映画に関しては怖いものはないですね 笑) 個人的には「ニーチェの馬」の方が好きですが、この映画もきっと今後何度も思い出すことでしょう。
***追記: 9/14、11:40
一部加筆しました。
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