
見てきましたよ。正直見たくない顔が次々に出てくるとわかっていたから二の足踏んでたんですけどね 笑) しかし、見てよかった。斎藤美奈子が言うように、彼らはみんな見事に墓穴を掘ってます 苦笑) 顔を見ていると、うろたえているのがわかったりしちゃう(特にケント・ギルバート)。まあ、あれで説得力があると思う人は真性の安倍真理教でしょう。
特に最後に出てくる日本会議の加瀬英明! びっくりするよ。自分で歴史学者と言いながら、他の歴史学者の本など読んだことがないと言っちゃう。学問ってなんだと思っているのだ!と、見ながら怒りで頭が真っ白になりましたね。
偉そうなことを言うつもりはない。でも学問っていうのは先人の業績をもとに、そこに何を付け加えられるか、何を間違いだと指摘できるか、それによってわずかずつ積み上げていくものなんですよ。その手続きを全て吹っ飛ばして、ある種の謀略史観のようなデタラメでこれまで積み上げてきたものをひっくり返すなんていうのは無教養の極みです。
教養とは、例えそれが結果的に先人の業績を否定するものになるとしても、その先人に対するリスペクトが前提にあるものです。それを保守派と言われる秦郁彦の本も含め、他の人の書いたものなど読んでないだと?? ふざけるな! こんなの歴史学者でもなんでもない!! と思いましたね。
この映画を左翼のプロパガンダだと言う人もいることでしょうけど、右翼と左翼と言った瞬間にもう政治的なテーマとして取り込まれてしまっているんだと思います。この映画の中ではそれをしっかり描いていますね。問題は左翼や右翼ではなく、事実はなんなのか、ということです。リベラル側にだって、おそらくありえない極端な例を挙げて(映画の中では8歳の少女まで慰安婦にさせられたなんて言ってるアメリカ人が出てきます)、逆にそこを慰安婦否定派から突かれる甘さを露呈しているわけです。一方で「新潮45」を廃刊に追いやった張本人の杉田水脈も、国会の場でフェイク情報を垂れ流し、それを指摘されるとヘラヘラと言を左右してごまかそうとする。
この映画でも出てくるし、
拙ブログでも以前紹介したパク・ユハの「帝国の慰安婦」が僕にとっては、この慰安婦問題の基本ラインなんじゃないかと思うんだけどね。この本は韓国では元慰安婦を愚弄したとして訴えられ、日本では右翼からは無視され、左翼からは非難されているんだけど、この本はいろいろ韓国側にも問題があったにしても、「女性たちに地獄を経験させた責任が大日本帝国にあることは言うまでも」(p.320) ないと主張していて、これが一つの起点になるのではないかと思います。そして、この映画でも、当時の韓国の家父長制と儒教の負の面に付け込んだ日本帝国の責任は絶対に免れるものではない、と言われます。このあたりから始めると言うのが至極妥当なラインではないかと思うんだけどね。
最後の方で出てくる黒幕、つまり日本会議が、日中戦争・太平洋戦争を侵略戦争ではなかった、慰安婦などなかった、残虐行為などなかったと言いたがるのは、再び戦争になったりした時に下々の国民が従順に戦場へ行ってくれなければ困るわけだから、彼らの立場に立てば理解できるでしょう。無論この「理解」は彼らのいうことを納得するという意味ではないのはいうまでもありません(念の為)。また、第二次大戦の沖縄を見ればわかるように、軍隊は国民を守らない、むしろ「国」を守るためなら自国民を殺す、なんて言うことは、彼らとしては絶対に認められないのでしょう。
そして、そうした連中の太鼓持ちをしている連中の言説も、彼らの立場からすれば理解できます。何しろ、金のやり取りがあるらしいからね。櫻井よしこは、映画の中でそのあたりを突かれると、苦笑いしながら、その件については話したくありませんと言っていたけど 笑)
だけど、
昨日の「戦争絶滅受け合い法案」でも書いたことだけど、戦争になれば最前線に送られるような一般人が、なぜ彼らの笛太鼓で踊るのだろう? なぜ戦時中の日本が非難されると自分が非難されたかのように怒るのだろう? なぜ日本だけ特別な国だと思いたいのだろう?
その答えはおそらく差別意識である。それが櫻井やトニー・マラーノや、特に杉田水脈と藤木俊一の発言に、いみじくも滲み出てくる。特に藤木俊一という人は、カメラの前でよくあんな露骨な差別的なことを言うよなぁと、その脇の甘さにびっくりした。そして、彼らの言説に頷くいわゆるネトウヨや安倍真理教の信者たちも、絶対に自らの中にある差別意識の解放に喜びを見出しているのだと思う。
それだけに、後半で出てくる櫻井よしこの後継者と言われながら、その後改悛した日砂惠ケネディの言葉はどれも重く響く。彼女は自らのそれまでの発言を省みて反省するとともに、それによって「自由になれた」というのである。安倍真理教の皆さんも「自由になれた」というこの爽やかな気持ちを味わってみたらどうかね?
(5/18, 9:30 語句を変えました)
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