
ヴェルナー・ヘルツォーク監督の映画です。総指揮はデヴィット・リンチだそうだけど、映画界きっての変な監督二人がタッグを組んで、とんでもない変な映画ができたかというと、それほどでもないような気がします。いや、変だよ、変、それは間違いない。だけど期待していたほどではないです 苦笑)
しかし、写真を借りてきたアマゾンのカスタマーレビューは散々ですね。レビューした人の半数は星ひとつ 笑) ただ、レビューしている人たちは一様にデヴィット・リンチらしさがない、あのリンチの世界はないという論調なんですが、僕としてはリンチよりもヘルツォークの方がずっと好きなので(というか、デヴィット・リンチはあまり見たことがない)、この映画は一見してヘルツォーク節(ぶし)満載という感じでした。
ヘルツォークの過去の映画をたくさん思い出させられました。何しろこの監督は「取り憑かれた人間」というのが好きみたいだしね。キンスキーがやった映画なんかみんな何か取り憑かれてたよね。「アギーレ、神の怒り」が典型だろうけど、「フィッツカラルド」も吸血鬼になった「ノスフェラトゥ」も「ヴォイツェク」も「コブラ・ヴェルデ」も、どれもみんな何か狂気を孕んだ執念のようなものを感じさせる主人公ばかりです。
そもそもキンスキーと自分の関係を綴ったドキュメンタリー「キンスキー、最愛の敵」なんかを見ると、監督自身が「取り憑かれてる」狂人じゃないか、と言いたくなるところもありますからね。他のドキュメンタリーでもそうですが、ヘルツォークのナレーションは淡々としていて、思わせぶりだったり見得を切るようなことをしないんですが、「キンスキー」ではその落ち着いた声で、キンスキーを殺す計画を立てたとか言ってしまうので返って怖かったりします。
ドキュメンタリーといえば、登場人物同士の室内でのやり取りのシーンがドキュメンタリー風。さらに濁流やペルーの岩山が「アギーレ」をすぐに連想させる。それから、突然登場人物たちがカメラの方を見て、ストップモーションのように動きを止めるシーンがあるんですが、これもかつて「アギーレ」で、ジャングルの中でみんなが一斉に、まるで記念撮影でもするかのようにカメラの方を向いて止まるシーンがあって、それを思い出しました。
そしてやっぱり出てきました、今回も。 動物(生物)ですよ、動物(生物)。
「アギーレ」ではリスザルの大群、「ノスフェラトゥ」では広場を埋め尽くすハツカネズミ、「神に選ばれし無敵の男」では真っ赤なカニの大群、「シュトロツェックの奇妙な旅」ではニワトリが永遠に踊るんじゃないかっていう変なシーンがあったし、ニワトリといえば「小人の饗宴」でも印象的な小道具でした。それがここではダチョウの大群とフラミンゴでした。そう言えば、
拙ブログで以前紹介した「バッド・ルーテナント」も自動車事故の現場に唐突にワニが仰向けに転がってピクピクしてたし、イグアナが出てきたかと思うと、最後は水槽の中にサメの大群でしたっけ。
お話は、殺人事件発生! と呼び出しをくらった刑事ウィレム・デュフォー(この人も変な俳優だよねぇ。キンスキーの迫力には負けるけど)がパトカーで現場に直行すると、母親を殺した青年が人質をとって立てこもっている。そこに犯人の婚約者の娘、犯人が所属していた劇団の演出家ウド・キアー(この人も昔は美男俳優だったようだけど、なんか目が狂気を帯びた感じの見てる人を不安にさせるような顔立ちです)、隣人の母と娘がそれぞれ事情を刑事に話し、それぞれの話がカットバックで描かれます。干渉しすぎの母親の元で、犯人が徐々に人格を崩壊させて狂っていくのがわかるような構成になっていて、最後に人質を解放しろと言われて解放した人質は。。。笑)
いやあ、なんともなぁ。。。ヘルツォークの映画が好きだというのでしたらおすすめですが、そうでなければサスペンスらしいものもないしハラハラドキドキさせられるわけでもないし、単調なつまらない映画かもしれません。
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