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ソヴィエト映画特集

2019.02.23.22:27

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川崎市市民ミュージアムで先週と今週の土日に4回、ソ連のSF映画を上映しています。今日は午前の部がタルコフスキーの「ストーカー」、午後の部はロプシャンスキーの「死者からの手紙」でした。

「ストーカー」の方は一昨年渋谷で見たときに拙ブログでも書きましたから、今日は「死者からの手紙」をご紹介。この映画、1990年ごろに一度見ているんだけど、その後探してもDVDにもなってないし、情報がとても少ない映画でした。なので久しぶりに見たんだけど、途中いくつかと最後のシーンは覚えていた通りでした。ただ、途中の話はほとんど忘れてましたね 苦笑)

核戦争により世界は滅んでいます。それも発射装置のエラーに気づいた責任者がたまたま飲んでいたコーヒーにむせて7秒間の空白が生じた隙に核ミサイルが発射されてしまったというものです。各地にあるシェルターの中に生き残った人たちが細々と生活してますが、外は放射能がひどく、何重にもロックされたシェルターの扉を次々と開けながら防護服とマスクをした上で地上に出ていかなければなりません。

主人公は初老のノーベル賞受賞者の科学者で、放射能障害で寝たきりの妻とともに博物館の地下シェルターで行方不明の幼い子供に当てて手紙を書いています。そこのシェルターには他にも幾家族かが住んでいるんですが、自殺する者もいれば放射能障害?で死んでいく者もいます。主人公の妻も、せっかく闇市で手に入れた薬が間に合わず死んでしまいます。彼らは近いうちに中央シェルターと呼ばれる大きな(安全な?)シェルターに映るよう言われています。主人公が行方不明の子供を探しに孤児たちが集められているシェルターに行くと、中央シェルターへ移動するのは親のいる健康な子供だけで、孤児たちは移動できないことがわかり、自分のシェルターに連れて帰って、そこで枯れ枝のクリスマスツリーで子供達とクリスマスを祝い(このシーンのクリスマスツリーと蝋燭はとても美しいです)、子供達にここを出て自分たちが生きられる場所を探せと言い残して死にます。

最後は放射能の吹雪の中、子供達がまるでブリューゲルの盲人たちの絵のように一列に繋がってよろよろと歩いて行くシーンで終わります。というわけで、何しろペシミスティック。もうユーモアのかけらもないし、孤児たちは親を亡くしたショックで言葉を発しない。まあ暗澹たる映画です。以前紹介した同様の人類文明が滅んだ後の親子を描いた「ザ・ロード」程度の希望すらない酷さでした。かすかに希望のようなものがあるとすれば、子供達のうちの一番年長の子に、起きたことを逐一記録しろ、いつか誰かがどうして人類が滅びたかを知ることができるために、と言い残すところでしょうか。さらに、もし仮にユーモアがあるとすれば、シェルターの中で上半身裸で生活し始めたおばちゃんでしょうかね。しかし、こういう映画って見る人を選ぶよなぁ。。。

この映画の完成後にチェルノブイリの事故があったようで、ここで描かれている防護服や、シェルターを出入りする時の様子などは、フクシマ後のぼくらの目からすればかなり甘いんですが、廃墟となった地上の様子などはセピア調の白黒の映像で、かなりの迫力でしたね。

終了後に井上徹さんというエイゼンシュテイン・シネクラブの人のソヴィエトのファンタジー映画についての公演があり、そこでロシア人にあるメシアニズムの話をして、これが結構なるほどと思わせるものがありました。要するに非常に宗教的という言い方をしてもいいんでしょうけど、それはタルコフスキーの映画にも見られるし、ドストエフスキー的でもあるし、何よりロシア革命そのものもこの方向で、つまり一種のメシアニズムとして見ることができるというわけです。

さて、明日もこの特集があります。明日は同じくタルコフスキーの「惑星ソラリス」と、これまた同じくロプシャンスキーの「ミュージアム・ヴィジター」です。前者はこれまた一昨年渋谷でやったときにブログに書きましたが、後者は初めて見る映画で、ちょっと楽しみな感じです。今日の人の入りはどちらも100人ぐらいでしたかね? 明日は「ソラリス」があるので、ひょっとすると混むかもしれませんが、270人ぐらい収容できるホールなので、多分大丈夫でしょう。

***
追記。2月24日に文言を追加してます。 


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アンコウ

アンコウ
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あんけ・たつや。欧州ロードレースに興味を持ってすでに30年以上。主にドイツ人選手を応援。特に青田刈りにいそしむ。歳にも関わらず、あらゆる点ですごいミーハー。そのほか好きなものは、読書、音楽はバッハと友川カズキ、北方ルネサンス絵画、映画、阪神タイガース(村山、江夏以来ですが、強すぎないこと希望、弱すぎはもっと困るが)。北欧の社会民主主義に対する憧れ強し。家族構成は連れ合いと娘三人。

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