副題はゴー・ホーム・クイックリー。日本国憲法が出来上がるまでの、GHQ民政局と日本の内閣や国務大臣らとの綱引きを、実在の人物内閣法制局官僚の佐藤達夫を主人公にして描いた「小説」。
途中まではアメリカの横暴さ、日本に自分たちの考える民主的な思想を押し付けようとする、ある意味植民地宗主国的な態度が強調され、現在の日本国憲法がアメリカによる押し付けであることが強調される。これでもって、現在の憲法は押し付けだから変えるべきだと主張する人も当然出てくるだろう。だけど、ここで描かれる佐藤達夫をはじめとする日本側の面々は、なんとかアメリカ側との折衝で意地を見せようと一生懸命である。果たしていま憲法を変えたがっている連中は、これらの人たちの真摯さを10分の1でも持っているだろうか? 同時に、この本の結末は押し付けだから変えるべきだという方向へは向かわない。
最後の方で白洲次郎が言う、押し付けかもしれないけどプリンシプルがしっかりしている、日本人にあれだけしっかりしたものが書けたかは疑問だと言うセリフや、主人公佐藤達夫の家の庭に、他ではなかなか育たなかったヨーロッパ由来のスノードロップの花が育つことを、日本の地にアメリカによる押し付け憲法が根付く比喩として語るラストから、著者の思いは伝わると思う。
現在の憲法の条文を見ながら読むことをお勧めします。
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