「創」という雑誌を図書館で読んでたら、雨宮処凛の、あまりにうまい表現に出くわし、思わず書き写した。例の新潮45の件なんだけど、そこに書いている自称保守とか文芸批評家とかいう人たちの「弱者利権」とか中国韓国を露骨に敵視するフレーズ、そしてリベラル勢力を外国勢力に操られ、金をもらってやっているという、ネットで見かけるようなレベルの言説に対して、雨宮さんはこう書く。
「この国では、すでに言葉が通じないくらいに『別の物語』を生きている人たちがいる(。。。)その人たちの中では、この国は弱者利権にまみれ、反日メディアが猛威をふるい、外国勢力に乗っ取られた様々な左派系の運動が幅をきかせ、日当をもらいつつ自分や杉田議員など国を憂える人々を攻撃している、という構図になっている。」
拙ブログにもこの手の「別の物語」を書いてきた人がたくさんいた。FBで絡まれたこともあった。そういう人たちにきちんと説明したところで、その根拠となるものをお前は自分で見たのか、と言われてひっくり返ったこともあった。
先人のやってきたことに対するリスペクト(これを称して「教養」というのだと思う)がまるでない。貧しい人たちが当事者として裁判に訴えたり(朝日訴訟)、在日外国人に対する指紋押捺に反対して裁判に訴えたり、障害者が権利を求めて運動してきたり(青い芝)してきた歴史を知りもせず、陰謀論で全てがわかったような気になっている。沖縄で反対している人に金が支払われているなんていうデマは、実際に行ってみればそんなのは嘘だとすぐにわかる(偉そうに書いているが僕は行っていない)。陰謀論を信じる人たちの気持ちはわからないでもない。手っ取り早く世の中を理解した気持ちになれるのだから。しかしそうした陰謀論を振りまいている大もとの人たちは、果たして、そうした陰謀論を本気で信じているのだろうか? 本当に信じているのだとしたら、あまりの無教養に声も出ないが、信じていないのだとしたら、かなり悪どい。
この世界には人々が憎しみ合い、いがみ合っていてくれた方が、自分にとって都合が良いと思っている人たちがいるのは間違いない。

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