うーん、さすがに歯切れの悪い優勝者インタビューでした。特に拙ブログで何度も登場しているニールス・ポリットのレースだっただけに、言いたいことはたくさんあります。
1989年のNHKでやったツール放送だったと思いますが、数人で逃げていた小集団で、マイヨジョーヌのフィニョンのために逃げに乗ったティエリ・マリは完全にツキイチで最後まで前に出ませんでした。そして、そのまま集団に捕まることなく小集団でスプリントに入ると、マリはまるで反応せず足を止めて少数団の一番後ろでゴールしました。
2000年代の初め頃? イエンス・フォイクトがスペイン人(名前失念)と二人で逃げて、最後は勝利を譲り、ゴール後、今日は彼がレースをお膳立てした。僕は後ろについて行っただけだ。だから彼が勝たなくてはいけない、と泣けるセリフを吐いたものでした。
その時、自転車レースはサッカーとは違う!と誇らしく思ったものでした。サッカーだったらマラドーナの神の手に代表されるように、審判に気がつかれなければ、何をしてもゴールすれば勝ちです。ハンドしたって醜く審判にしてないと迫ったりするし(まあ、微妙な点はママあることでしょうけど)、どうも潔さがないよね。まあ、サッカーが熱くなるのはその辺にも原因があるのかもしれないけど。
ふと思えば野球もサッカーに似た面があるかもしれませんね。昔の漫画「巨人の星」で、確か主人公の星飛雄馬が二軍の練習試合で空タッチで、審判はアウトを宣告したにもかかわらず自ら今のは空タッチだったと申告して、逆にみんなから嫌われちゃう(うろ覚えです 笑)なんていうエピソードがありましたっけ。そういう意味では審判がいるスポーツにそういう面(審判が気がつかなければラッキー)があるのかもしれないと思ったけど、そうとも言えないシーンもなんども見てます。
例えば、昔、男子バレーボールがまだ日本が強かった頃、南という選手が審判が日本の得点にしたのに手を上げて自らネットタッチを申告したことがありました。格好いいなぁ、と思ったものでした。
1970年代の卓球の世界選手権では、ベスト8決定戦でリークという選手が世界チャンピオンになったことのあるベントソンにフルセット19対20まで追い詰めたことがありました。そこでベントソンが倒れながら放ったスマッシュ。それがコーナーにエッジボールで入ったかどうか非常に微妙な感じで、ベントソンも審判を見つめ、審判の方も副審を見たまま、すぐにポイントを宣言しなかったのですが、ボールを拾いに行ったリークはそのまま戻ってくるとベントソンに握手を求めました。これは当時の卓球レポートという雑誌に出ていた話ですが、なんて格好いいんだろうと思いました。
ところが、2013年だったか、パーヴェル・ブルットがツキイチのまま最後にアタックして優勝したことがあり、あれ?ここまでやって勝ちたがるのって、どうなんだろうと思ったものでした。
だけど、あれってチームのポイントがワールドツアーチームの要件になった以上、勝って点数を稼がなくちゃ、翌年2部に落ちちゃうかもしれないわけですよね。なんか今の社会を写しているようで気色が悪い。だいたい人がやることを数字で評価しようとすると、ゆとりがなくなります。そもそも社会全体が競争競争で、昔のようなゆとりがなくなってますが、それと同じものをスポーツで見せられてもねぇ。。。
というわけで、パリ〜ニースの第5ステージです。ラスト10キロでクザンが前に出たのは3回だけ。それもわずかな時間でポリットが業を煮やしてすぐに前に出て、結局あれだけツキイチで、ポリットから何度も「へい!出ろよ」と言われても出ないで、昔だったら表彰式でブーイングが起きただろうと思うんですが、勝利はチームのためという意識が強くなって、どんなことをしても勝つという風潮が強くなったというのは、個人的にはなんか嫌だなと。。。
まあ、負けたのがポリットだからということは別にして、こういうのって勝利至上主義で、いやしくもプロがやっちゃあダメだろという思いとともに、チームに点数がついていくシステムだから何としてでも、たとえブーイングを浴びても勝たなくては意味がないという言い方もできるんだろうけど、、、うーん。。。。
まあ、クザンの側から言えば、あれだけ集団に追いつかれるのを覚悟の上で我慢したんだ、心理戦を制したんだ、ということも言えるんでしょうけど。。。確かにポリットがもっと老練な選手なら、この騙し合いに付き合って、クザンを前に出させたのかもしれないけど、でもそれじゃあ捕まったかもしれないしねぇ。。。解説の浅田さんは「冷静」という言葉を使ってましたが 笑)
で、僕としてはウィギンズの喘息治療薬が反倫理的というのなら、ああいう勝ち方も反倫理的ではないのか、なんて言ってみたくなったりします 笑)

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