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1972年のツール、緑のマイヨはきみのだ

2017.07.25.13:00

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1972年のツール・ド・フランスです。写真はパリの表彰台のメルクスですが、彼と握手して顔をマイヨで覆っているのはシリル・ギマール。この名前にピンと来た方は、多分40歳以上でしょう 笑)

シリル・ギマールは70年代後半から80年代前半、ファン・インペ、ベルナール・イノー、ローラン・フィニョンと三人のマイヨ・ジョーヌを生み出す最も成功した監督の一人として有名です。

このギマールが選手として最も輝いたのが1972年のツール。YouTube にこの年のダイジェストがありますね。



ギマールは前半のスプリントでの勝利でボーナスタイムを稼いで、第8ステージまでマイヨ・ジョーヌを着ていました。この年、ゴールスプリントでメルクスを破って4勝、特に第15ステージではゴール前で勝利を確信して手を挙げたメルクスの横で、自転車を投げて写真判定で優勝します。上のYouTubeでは20分前後のところです。

スプリントになるとメルクスを上回る力を証明したのですが、この人、膝に問題を抱えていたんですね。18ステージ、総合2位だったのに膝の痛みに耐えられずリタイアしています。この後も2年ツールに出ますが、どれも途中リタイア。結局29歳で引退しています。

ヴィキペディアの日本語版では選手として大した成績を残せなかったなんて書いてありますが、まあ監督としての名声を引き立てるための露骨な描き方で  苦笑)、なんて言ってもツールでステージ7勝ですよ。他にも71年にはブエルタでステージ4勝を挙げてますし、プロ生活9年で100勝以上あげていますからね。

というわけで、この年、パリにはたどり着かなかったんですが、その表彰台で、背広姿でメルクスに緑のマイヨを授与した彼に、メルクスは一旦それをまとって写真に収まった直後、素早く脱ぐとそれをギマールに渡してこう言います。

「緑のマイヨは君のだ。君にこそふさわしい。記念に取っておけよ。」

ギマールは人目憚らず緑のマイヨで顔を覆って号泣、というわけです。上のYouTubeでは27分40秒ぐらいから28分15秒ぐらいです。 

格好良すぎるだろ、エディ!!

しかしメルクス、何でもかんでも勝とうとするので「人食い人種」(カニバール)と呼ばれ、強すぎるので一部のファンはアンチメルクスになったわけですが、こうした俠気には、まあ、もう誰もかないませんなぁ。史上最高の選手といわれるのも当然のことでしょう。

そういうわけで、個人的にはメルクスのツールの記録(ツール総合5勝、ステージ34勝)を、未来永劫 笑)誰も追い抜かないことを願っています。まあ、並ぶのはしょうがないかな 笑)



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comment

アンコウ
CYPRESS さん、

さすがに77年のサイスポは見たことないですね。77年、僕は卓球に夢中で、河野満の世界戦制覇に喜んでいた頃です。ただ、ちょうどこの頃NHKで自転車世界戦の放送をしていて、スクラッチ(スプリント)メインでしたけど、スタンディングにびっくりした記憶があります。優勝したのは中野じゃなかったので、多分76年かも。それとも75年か? その時最後の方ロードレースもやったと思うんだけど、そっちの方はまるで覚えてない。あるいはのちに捏造された記憶かも。
2017.08.03 21:07
CYPRESS
そうなんです、自転車競技マガジン、結構がんばっていたんです、ハイ。

シマノが出していた大判の冊子、「レ・マイヨー」ね。
2冊か3冊で終わっちゃた。
ハッキリ言って、コレクターズアイテムで完全なコレクションを求める人にしか向かない。
読むに値しない記事。
英語と日本併記なんだけど、英語と日本で書いてある内容が違っていて驚いた。

日本の古い物なら、サイスポ誌でツールを初めて全区間取材した1977年のがいい。
セルキュとチューラオのゴール勝負を低いアングルから撮った写真には、当時あまりのカッコよさに、とても驚いた(笑)。
三宅カメラマンに渾身の一枚。
2017.08.03 20:15
アンコウ
CYPRESSさん、

当時の競マガは随分と突出していたんですよね。1970年代終わり頃なんて、ヨーロッパの自転車レースなんか日本では誰も興味を持っていなかった時代ですからね。メルクスやコッピの連載なんて、ある意味で興味を持って喜んで読んでいた人なんて、日本中でも100人もいなかったでしょうね。

あとどうしても見つからないのが、1980年代前半?ごろに出ていたシマノのかなり大判の冊子。競マガは時々ヤフオクなどでも出てきますが、こちらが見つからないです。
2017.08.02 11:09
CYPRESS
「アルバーニ」
自転車競技マガジン連載、マルク・ジュニオー聞き書き(のはず)『エディ・メルクス わが競争の日々』に名前が出て来るよなぁ。
でも、メルクスの監督と言えば、"The fabulous world of cycling"の最初、1969年、フランドル一周の写真。
ギョーム・ドリエッセンだね、メルクスファンの私CYPRESSにとっては。

ゴール前70㎞で「スプリントを始め」(→とメルクスが書いている)ると、
ドリエッセンが車を運転しながら「おめーは、思慮分別ってのを知らねぇのか」と説教してる。

~思慮分別?何だ、それは?ジモンディに5分以上差をつけフランドルに勝ったのは現役時代の最初のお馬鹿の始まりだった~
エディ・メルクス

こういうエラそうな事、小生意気な事、アホな事、書ける選手はもうおらん。
興味と関心を引く魅力的な、もののけの力を持つ選手がおらんから、見る気が起こらんのです。

改めて見ると、アルド・トノワールもいい写真撮ってるなぁ。
2017.07.30 22:08
Arturo
  それと又書き忘れですが、彼の死去は確かに2年前でした。29日の水曜日、結果、死去丸2年の記事でした。(つまり、今オマージュを書く理由そのものが存在しない。)言い換えると死んで2年、その事実を知らなかった!。なんとか遠くなりにけり、、、で、おボケ様とはちょっとニュアンスが違う感傷な気分にもなってしまいました。
2017.07.29 23:21
Arturo
アンコウ様
  申し訳ありません。
  先の個人的見解の件ではありませんが、又差異(今回は僕の側が主観的!?あのメルクスのディレクターを勤めた男!みたいな、、正に個人の主観の世界ではギマールよりイメージが強い!。)を露呈してしまいました。申し訳ありませんでした。
  (とりわけ、先の件もですが、僕の持っている知識、見識などは、ほんのひと握りに過ぎない、と言う基本的な事を忘れておりました、、、。これでは客観的な見識、判断とは到底言い難い、、、。)
  
2017.07.29 21:45
アンコウ
Arturoさん、

うん、その後ググってみました。イタリア語や英語のヴィキにはありますね。ただ僕は個人的にはまるで印象にない人です。

亡くなったのは大分前みたいですね。
2017.07.29 21:14
Arturo
ええっ!。
 ジョルジョ・アルバーニ、勿論元選手ですが、それ以上に、ギマールではありませんが、モルテーニ、つまりメルクスの監督をした人物です。この72年ツールも、彼は居た筈です。
  後に(僕の時代は)RCS-Sportでジロのレースディレクター(競技面最高責任者、やはり僕の時代、ツール、ASOでは、ジャン・フランソワ・ペシューに相当)をしていました。
 過去にメルクスのパリーツールの件で投稿登場したか?。もはや記憶が曖昧、、、メルクスが獲れなかった理由として、あの時代、彼はこのレースに対するリスペクトが低かった、、、、。旨、、、。或いはメルクス、コルナゴ、ケッセルの件で、、、?!。
  こう書けば、「ああっ、アルバーニね!。」と言って貰える?。
2017.07.29 18:53
アンコウ
Arturo さん、

アルバーニ? 誰? 
2017.07.29 18:39
Arturo
アンコウ様
  全然関係ないけど(でもない!?)、フェイスブックで気がついたのですが、昨日、金曜日アルバーニが86歳で死去したと言う事です。又、オマージュのスペース、記事お願いします。
2017.07.29 17:23
アンコウ
CYPRESS さん、

へぇ〜。膝に注射。痛み止めの注射というのは、ドクターカーにつかまっている選手のお尻に注射しているのは80年代半ばの写真で見たことがありますけど、膝は嫌だなぁ。拷問だよ。
2017.07.25 20:57
CYPRESS
この写真、有名だけど、その昔、もっと驚いたのが、
同じ年のツール。
アルド・トノワールが写した一枚。
レース中、医者が件のギマールに膝に注射を打っている(@_@)。
勿論、止まってネ。
そんな事してまで走るのかとツールの価値と恐ろしさを実感しました。
もう35年近く前の話。
2017.07.25 20:03

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あんけ・たつや。欧州ロードレースに興味を持ってすでに30年以上。主にドイツ人選手を応援。特に青田刈りにいそしむ。歳にも関わらず、あらゆる点ですごいミーハー。そのほか好きなものは、読書、音楽はバッハと友川カズキ、北方ルネサンス絵画、映画、阪神タイガース(村山、江夏以来ですが、強すぎないこと希望、弱すぎはもっと困るが)。北欧の社会民主主義に対する憧れ強し。家族構成は連れ合いと娘三人。

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