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坂口安吾「堕落論」を読んだ

2017.04.04.16:43

芸人にまで教育勅語の内容は悪くないなどという輩がいるそうだ。ぼーっと読めば、別に常識的な事が書いてあるじゃないか、親孝行せよとか友達同士仲良くせよとか。

しかし、ちょっと待ってほしい、そんなのは教育勅語のポイントでもなんでもない。前にも書いたように、そんなものを称揚するために教育勅語を持ち出す必要性などまるでないのである

教育勅語の精神というのは、前にも書いたように、いざ事が起きたら天皇のために命を投げだせというところなのである。ここがキモね。特攻隊なんていうバカな戦法を担保したのがこの精神なのである。だけど、本当に天皇はそうしてくれと思っていたのか? 

学生時代、読んだことあるというアリバイ作りで読んだ坂口安吾、何も覚えていなかった。読み直すと、今の時代にそのまま通用しそうな事がたくさん書いてある。例えばこんなところ。

「天皇の尊厳というものは常に利用者の道具にすぎず、真に実在したためしはなかった。藤原氏や将軍家にとって何がために天皇制が必要であったか。(中略)それは彼らが自ら主権を握るよりも、天皇制が都合が良かったからで、彼らは自分自身が天下に号令するよりも、天皇に号令させ、自分が真っ先にその号令に服従して見せることによって号令がさらによく行き渡ることを心得ていた。」(続堕落論)

天皇の名の下に、権力者たちは自分たちの欲することを人々に押し付けたのである。

教育勅語の文面を作ったのは明治天皇などではない。体裁だけは明治天皇が与えたという形にしているだけで、天皇を利用して自分たちの権力を守ろうとした当時の権力者たちが考え出したものである。

今また、天皇を利用して、自分たちの権力を守りたい奴らがいる。教育勅語をめぐる問題は、内容がいいか悪いか(天皇のために死ね、なんて悪いに決まっている)などではない。あれを押し付けたがっている連中の意図(天皇を利用して権力を守るという意図)こそが問題なのである。



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comment

アンコウ
CYPRESSさん、

半藤一利のこの本は読んでないけど、誰かが書いた新書のノモンハンは読んだことがある。無茶苦茶な話で、独断専行、特に辻政信なんか、包囲網をくぐり抜けた英雄に自決を強いた上、戦後は戦犯のくせに逃げ回って、それを本にして大儲けした挙句に選挙に打って出てトップ当選だからね。日本人って結局バカなのね。下のものには責任を取らせ、自分は責任を取らない、そういう奴をありがたがって、持ち上げる。本当、今も全く同じ。でもこの戦争(あえて戦争という)、日本だけじゃなく、モンゴルの人たちにもものすごい迷惑をかけているんだよね。んー、村上春樹の小説で何かノモンハンのエピソードが出てくるのがあったと思う。ねじまき鳥だっけ??
2017.04.06 22:16
CYPRESS
今、半藤一利の『ノモンハンの夏』を読んでいる最中で、面白い事が書いてある。

>いったい陸大出の中将(→小松原道太郎中将の事、当時の西北防衛司令官、第23師団長)ともあろう軍人が何を血迷っているのであろうか。防衛司令官たるものは勝手に作戦をたて、兵力運用の権限をもっていると、小松原は本気で考えているのか。国境紛争の解決とは申し条、あるいは大戦争につながりかねない兵力の行使なのである。軍旗を奉じた連隊長を出動させているのである。軍隊指揮権(統帥権)は大元帥にある(→当時の天皇陛下)。大元帥の命なくして一兵たりとも勝手には動かせないと基本的には考えねばならない。当時の陸軍軍人は統帥権の何たるかを知らず、それを干犯するなど朝飯前のことに考えている。そのことをよく小松原日記は語っている。
(文春文庫版、p,122から)

教育勅語で憲法を重んじ、法律に従いなさいと書かれ教えられているのに、
この小松原は大日本帝国憲法第十一条(天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス)を明らかに破っている。
何て言えばいいんでしょう(笑)?
小松原は1886年の生まれで、教育勅語の発布が1890年だから知らんと言いたいのか(笑)?

21世紀の日本人の中にも同じ事をしたいのがいるんだねぇ。
2017.04.06 00:25
アンコウ
あるふぁさん、

なんだろうなぁ。教育勅語にもいいこと書いてあるじゃないかという人たちは、本当にこれまで何も勉強してこなかったんじゃないかと、呆れます。あほか、ですよ。ヤクザの決まりごとにもきっといいこと書いてありますよ。子分をいじめるな、とか、仲間ゲンカをするなとかね。
2017.04.05 21:35
ミニ
私らの育った時代にはあり得なかった「忖度」なんて言葉が、大手を振ってまかり通る国になってしまったのが、実に情けないです。

小学1年生の道徳の教科書の話の中身が、パン屋から和菓子屋に変えられると愛国心やら郷土愛やらが育つと、安倍の思想を「忖度」した文科省官僚と教科書会社は考えたらしいですね。すると今後は、例えば洋服よりは和服を着る者の方が愛国的で、神社への初もうでは愛国的だがクリスマスは非愛国的とかになるのでしょうか。国産車に乗る奴は愛国的で、外車に乗る奴は非愛国的だ、という理屈ならわかりますが。

上意下達と忖度の支配するロボット社会をめざすなら、教育勅語も十分に子供の洗脳教育には役立つでしょう。
多分、ブラッドベリの「華氏451度」の世界みたいに、知識と情報と教育とを完全に支配し、人間の行動と頭の中をも統制する世界を、それと悟られずに作りあげることが、支配する側の理想なのでしょう。その際、テロ対策は非常に有効な口実になりますね。
2017.04.04 22:58
あるふぁ
いい機会ですから
教育勅語の目的が何であったのかをマスコミできちんと報道してほしいですね

2017.04.04 22:30
アンコウ
ミニさん、

こんにちは、

私も「グロテスク」という言葉が一番ぴったりすると思います。要するに「トンデモ」レベルの話として教育勅語を語るのではなく、本気で素晴らしいものとして語るわけで、お前ら、本気か〜? 頭大丈夫か〜? と思いますよ。
2017.04.04 21:30
ミニ
政府が、教育勅語を学校教育の教材として使うことを禁じはしない、という報道を聞いて、何を今さらアホなことを、と思った。大日本帝国憲法だって、社会科の歴史資料や公民の政治資料として使われているだろうに、と。

ところが、よく聞くと社会科ではなく、道徳の授業での教材だと言うので、呆れて言葉を失った。
安倍流の復古趣味もここまで来ると、グロテスクである。
2017.04.04 20:47

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アンコウ

アンコウ
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あんけ・たつや。欧州ロードレースに興味を持ってすでに30年以上。主にドイツ人選手を応援。特に青田刈りにいそしむ。歳にも関わらず、あらゆる点ですごいミーハー。そのほか好きなものは、読書、音楽はバッハと友川カズキ、北方ルネサンス絵画、映画、阪神タイガース(村山、江夏以来ですが、強すぎないこと希望、弱すぎはもっと困るが)。北欧の社会民主主義に対する憧れ強し。家族構成は連れ合いと娘三人。

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