図書館でちょっと手に取ったら、なかなか面白くて、つい借りてきてしまいました。いやあ、この人、東京新聞のコラムでも、時々ビックリするようなすごいことを書く人ですが、大した才人です。
特に、戦後民主主義を左派的と見なすなら、現在は左派が1点リードで9回裏、右派はツーアウト満塁一打逆転サヨナラのチャンスにバッターボックスに安倍が入っているという例え。なかなか笑えたんですが、笑っている場合じゃないですね。
この斎藤の比喩に乗れば、なにしろここまで、完全なストライクをボールと言ったり、ほとんどすべての解説者がアウトだと言っているのを、審判を変えてセーフにしたり、とむちゃくちゃやってきてますからね。球場警備員も文句を言う観客を片っ端から追い出して、挙げ句の果てに差別用語まで撒き散らし、球場は大混乱ですよ。
斎藤美奈子本人は自分を左翼だと言っていますが、ここに描かれている右の人たちの意見もきちんと書いていて、そこには聞くべきものもあるというわけ。そして、読者にはどちらがいいかと問いかける。
だけど、問題は、現代はそんなレベルまで行っていないと思うんだなぁ。右だ左だという前の段階で、それを議論すべき前提すら理解しないまま、議論そのものを否定するようなことを言う人たちが、今の日本には満ち溢れているわけです。しかも、そこらのネトウヨが言うのとは違いますよ。自分たちの意見を批判する新聞社を潰せとわめく権力寄りの作家や、「天賦人権説」を否定しちゃう議員なんて、もう何をか言わんや、ですよ。そして自分たちの目指すことを「ナチスの手口を真似して」実現しようと言ったり、ハーケンクロイツ掲げるような奴らと一緒にニコニコ写真を撮ったりする連中が大臣の座にいるわけですからね。
ただね、この本も、結局一番読んで欲しい人たちは、おそらく手にもとらないでしょう。これだけ分かりやすく現代に至る日本の政治の状況を説明しているのに、選挙に行かないような人たちは、当然この本を手に取るはずもないし、ましてやネトウヨさんたちにいたっては。。。拙ブログに、時々いたずら書きをしてくるネトウヨさんや安倍応援団なんかも、こうした良識的な、至極まっとうな本は読まないでしょう。仮にこの本を手に取った、あるいは目に留めた人でも、まず斎藤美奈子を知らなければ、ネット検索してレッテルが貼ってあるのを確認して、それでもうわかったつもりになるでしょう。仮に読んだとしても、はなから揚げ足取りにしか関心がないだろうから、本筋とまるで別のところでとんちんかんなことをアマゾンのレビュなんかに書いて、星一つにしちゃうんでしょう 笑)

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