僕は皇室に対して、何か特別な気持ちを持っているわけではない。昭和の時代なら、共感か反感か、と言われれば反感だった。いや、今でも昭和天皇に対しては反感しかない。でも今上天皇に対しては反感はない。
今夜の新聞を読んでいたら、その昭和天皇の末弟がこんなことを言ったと知った。
「偽りを述べる者が愛国者とたたえられ、真実を語る者が売国奴と罵られた世の中を、私は経験してきた」
今の世の中、特にネットに蔓延している「愛国者」と「売国奴」という言葉を思い浮かべる時、この三笠宮の言葉は含蓄がある。
以前にも書いたことだけど、ナチスの時代、ヒトラー暗殺を企てたシュタウフェンベルクやトレスコウは、当時は売国奴として罵られた。現在、彼らは、おそらくほとんどのドイツ人に愛国者として称えられていると思う。
あるいはポーランドの民主化要求が高まった1980年代始め、首相のヤルゼルスキはポーランド全土に戒厳令を引き、世界中から非難された。しかし、その後の推移を見れば、これによってポーランドはソ連の介入を避けるとともに、内乱をも避けることができたわけだ。これまた前に書いたけど、ヤルゼルスキはあえて悪役になることを厭わなかった。こう言う形の愛国者もいるわけだ。
そもそも、これまた何度も書いたことだけど、愛国という時の国ってなんだ? 軽々しく口にされるこの愛国という言葉で、それを発している人たちはどんな「国」というものを頭に思い描いているんだろう? 本当に僕には謎だ。

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