CYPRESS
はい、いい絵です。
高校生の頃見たら、かなり気に入ったと思います。
鴨居玲、言葉が不自由なスペインで老人、廃兵を見て、接し、感じることが多かったのでしょう。
黒く暗い人物画からは、
「思う様に動かぬ体だけど、声は上げられる、でもその声が人に届く程大きく出来るか?」
「干乾びた体の中の心も干乾び、人に伝えたい思いは無いのか?」
こういう「声」が聞こえてきます。
でも、私にはそれだけなんだなぁ…
「だから、何?」なんですよ。
そこから先の物語とか言葉、こういう感じのものが無いんだなぁ。
逆に何も表さずに、人生の空しさや絶望を表してるのかもしれない。
それで、志半ばで自死、って印象が強い。
いい絵なのは間違いないんですが、イマイチ好みに合いませんでした。
それから、作品の見た目と違い、実際はかなりの薄塗りで、近付くとキャンバスの繊維が見えます。
遺品として残された筆も茶色の穂のコリンスキーやテン、ミンク等油を多く使い水彩風に描く筆が半分程ありました。