
これもまたスカパーのミステリーチャンネルで録画しておいたものですが、以下、かなりネタバレしています。
前にもロシア版ホームズ「シャーロック・ホームズとワトソン」の話は書いたけど、今度のは2013年制作というもの。1時間45分番組8本という構成で、前のに比べて原作からはかなりはずれている。
例のカンバッチみたいな名前の非人間的な顔立ちの 笑)ホームズシリーズもかなり無茶苦茶なおもしろさで、原作の事件にかなり大胆な改変(ほとんど別物とも言う)が施されているけど、こちらはあそこまでムチャクチャにはしていないにしても、やっぱり原作からはちょっと遠い。ただし、元々はこれが真相だけど、それをワトソンがあのような物語にして発表したのだという設定はおもしろい。ワトソンと編集者のやりとりも結構笑える。
冒頭毎回ワトソンが書くスケッチつきの原稿のアップで始まるが、なによりもこのワトソンが魅力的。ホームズが30代前半ぐらいの若造で乱暴で大酒飲みで素人っぽいのに対して、ワトソンは50ぐらいのシャイな医者。ただ、ホームズの横暴さにふてくされたり、あからさまに不機嫌な顔をしながら我慢したり、時には無表情のままキレる。そうするとボクシングの練習をつけるという名目でホームズをボコる。そう、ワトソンは銃とボクシングの名人なのだ。
また、原作では無能のくせに気位ばかり高い嫌な奴という印象のスコットランドヤードのレストレード警部がむちゃくちゃ個性的な顔立ち。ホームズの顔は忘れても、このレストレードの顔は忘れないだろう。しかも原作ほどトンマではない。また、ホームズもそんなレストレードをぎゃふんと言わせるほどのことはできない。単にホームズの兄のマイクロフトが政府要人なので下手(したて)に出ているだけ、という感じである。このレストレード、第6話では大活躍(?)して、最後は逆上、とんでもない奴である 笑) 兄のマイクロフトが最初に出てくるときはずっと後ろ姿なのも、最終話になって初めて意味がわかる。
さらに女性たちがまた原作と違う。まず下宿の女主人のハドソン夫人はお婆さんではなく40ぐらいのきれいな女性で、ワトソンに色目を使い、最終的にはワトソンと結婚する。一方、原作ではホームズがただ一人敬意をはらって「あのひと」と呼んでいたアイリーン・アドラー。この美女がなんと、ホームズと過去に恋人同士だったという設定、というよりも、ホームズが手玉に取られたと言ったほうが当たっていそう。そしてすべての事件の裏にモリアティがいる。
繰り返しロンドン塔とウェストミンスター宮殿が遠景で出てくるけれど、でもやっぱりなんとなくロシアの雰囲気があるし、ワトソンがアフガニスタンへの従軍医師だったこと関係があるのかもしれないが音楽がちょっとイスラム風。
あちこちに挟まったユーモアも上品で面白い。偽名でベイジル・ラズボーンと言ったりする。最後の回は「バスカヴィルの犬」という題名なので、例の有名な話だろう、どんなふうに脚色しているんだろうと思えば、見事に肩すかしを食らう。前回のソ連時代のホームズもかなりのレベルだと思ったが、これもかなりレベルが高いと思う。ただ、残念なことにワトソン役の俳優は亡くなってしまったので、続編はたぶん作られないんだろう。

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