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クエンティン・マサイスの絵

2015.04.17.19:18

今日は午前中時間があったので国立新美術館のルーブル展へ行ってみました。午前中、それも開館すぐだから空いてるだろうと思ったら、いやあ、想像以上の人数でした。なんといってもフェルメールですからね。他に並んでいる同時代の風俗画や静物画と比べても際だっています。人も事物も輪郭が光にまみれて柔らかいし、なにより構図のバランスが凄いですよね。

実はフェルメールは実物を結構観てます。ドレスデンやアムステルダムやベルリン、ウィーン、フランクフルトと、たまたま旅行した先に偶然あったんですよね。それから日本であった展覧会でも結構観ています。数えてみたら今回の「天文学者」で14作品目。まあ、このネットで何でも観られるご時世、本物を観たからなんだ、という気持ちもないことはないんですがね。

で、実は今回のお目当てはクエンティン・マサイスという画家の両替商の夫婦の絵。

かわいい奥さんと、魅力的とはとても言えないダンナの絵で、この時代の北方ルネサンスの絵画にはこういうの、たくさんあるんですが、一番有名なのはファン・エイクの「アルノルフィニ夫妻」

なんか陰険で意地悪そうな夫と品の良い可愛い奥さんという取り合わせ。このダンナだけの肖像画というのもファン・エイクの絵にあって、そちらはこれより少しマシだけど、やっぱり意地悪そう。これがさらに極端になると不釣り合いな夫婦っていうテーマで、ルーカス・クラーナハ父子なんかが醜い老人と若く美人の奥さんの絵をたくさん描いています。

必ずしも夫が年寄りと決まっていなくて、逆に奥さんがお婆さんで若いハンサムなダンナという組み合わせもあります。まあ、これは必ず金が絡んでいるんですね。アルノルフィニも豪商でしたし、このマサイスの両替商もそうでしょう。可愛い奥さんは聖書をめくる手を止めて、ダンナが天秤で量っている金を思わず見つめています。

ブリューゲルの農民の踊りでも右側にいる手をつないでいるカップルは老人と若い娘で、このテーマがさりげなく隠されているという説をどこかで読んだことがあります。

テーマはまあそんな感じなんですが、マサイスはイタリアでダ・ヴィンチの影響を受けたと言われていて、かつて私も観て感動したんですが、ベルリンにあるマグダラのマリアの絵はとてもいい絵だと思います。輪郭のおぼろな感じはダ・ヴィンチのスフマートという手法を取り入れたと言われています。

この両替商の夫婦はそうしたダ・ヴィンチ風の輪郭ではなくくっきりしていて、むしろ素朴な感じで、遠近法もずれているし、細部の思いっきり力(りき)の入ったリアリティに対して、大きな意味でのバランスがちょっとおかしいような気がするんですが、なんとも言えない静かなたたずまいに魅了されます。のちほど、納戸にある画集で見直すことにしましょう 笑)



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comment

CYPRESS
今回来たブリューゲルは「物乞いたち」でしたな。
失礼しました。
訂正します。

私が行った時は、寒かった3月だったせいかそれほど混んでませんでした。
今日は天気良かったからね。

国立新美術館は乃木坂駅から直結してて便利だけど、
上野駅からの距離が程よい東京都美術館と東京国立博物館は、また別の楽しみ方がありましてな(^.^)。
人類の至宝と言う非日常と上野駅と言う世俗の行き来を楽しめるんですな、あの距離をのんびり歩くと。
雨が降ると「雨月物語」を思い出す方、少なくないんじゃない(笑)?
何かねぇ、異世界へ行く雰囲気になるんですよ。
だから国立西洋美術館と上野の森美術館は駅から近過ぎてこの点で損してる。
特に東京国立博物館はあのデカさだけでも非日常的で近づくだけでも日常の諸々を忘れさせます。

「神々のたそがれ」って「風と共に去りぬ」でレット・バトラー船長がスカーレット・オハーラに言うんだけど、スカーレットは当然ながら分からないんだようなぁ。
2015.04.18 01:20
アンコウ
おっと、書き忘れた。「農民の踊り」はそんなに小さくないです。
2015.04.18 00:52
アンコウ
CYPRESSさん、

ははは、相変わらずですね。僕は自転車もそうだけどコレクターじゃないので、金銭的な価値を無視すれば、家に飾っておきたいとは思いません 笑)

やっと重い腰を上げたんだけど、実は今日も「神々のたそがれ」の3度目にするか、マサイスにするか、迷ったあげく、映画の終わりの時間を逆算してあきらめて、こちらにしました。

でも、本文にもちょっと暗示したように、絵はなんか最近「本物を観ること」にこだわりがなくなってしまって。。。家で画集で観るより緊張感を持ってみるだろうと思ったんだけど、あれだけ混雑しているとねぇ。。。「神々のたそがれ」は3度目があるかもしれないけどこちらはもういいかな。

映画も音楽も、目の前で見たり聴いたりすれば、おのずと家で一人でDVDやCDを見るより緊迫感が違うんだけど、美術に関しては、あれだけ人が一杯いると、映画館や音楽会とは違って緊張感がなくなりますわ。
2015.04.18 00:45
CYPRESS
ようやく行きましたな(笑)。
「天文学者」についてもう少し書くと、
画面を上下に精確に二分割してるとんでもない(笑)絵です。
絵葉書とクリアファイルを買って家で計ったら会場で予想した通り等分してた。
驚いた(笑)。

絵のいろはを勉強した人なら、画面の二分割はご法度とごぞんじのはず。
そんなことを一笑に付す正に強力な絵です。

その分割線上の一番目立つ天球儀の赤道の輪の描写が、超絶技巧。
すげーんだ(@_@)。
特に光が当たる上面。
赤道の輪の他の部分と殆ど同じ色なのに、目立つこと目立つこと。
それに天球儀自体との明度の差も展示ガラスにメガネが触れる程近付いても、大きな差が無い。
でも、これがすんげー目立つ。
ただWikiの図版ではこれを捉えていない。
どうやるとこういう描写が出来るのか、我等素人絵描きには想像も出来んのです。

そして天文学者の右腕の直線の鋭さ(@_@)。

構図を決めるのに物差しを使ったのは間違い無し。

日本画が好きな私の様な人間は、コンパスと定規で構図を決めていた(=規矩の法)北斎を思い出す絵であります。
北斎も左右に画面を精確に2分割する「富嶽三十六景 甲州三島越」があります。
(広重の「名所江戸百景 神田明神曙之景」はさらに進み画面を上下左右四等分している(@_@))

さてさて、「天文学者」、本物を見ないと分かりにくいのが大きさ、と言うか小ささ。
45cm×50cmしかない。
日本の狭小住宅で飾っても圧迫感は無いけど、あんな鋭利な印象の絵は緊張感が在り過ぎ毎日目にするにはちょっとなぁ…(笑)。
でもくれるんだったらもらうけど(笑)。

それよりブリューゲルの「農民の踊り」が欲しい。
15cm×20cmしかないから机の上にも置けるじゃん(^.^)。

見てガッカリすることのない展覧会でした。
お勧めします。
2015.04.18 00:10

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アンコウ

アンコウ
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あんけ・たつや。欧州ロードレースに興味を持ってすでに30年以上。主にドイツ人選手を応援。特に青田刈りにいそしむ。歳にも関わらず、あらゆる点ですごいミーハー。そのほか好きなものは、読書、音楽はバッハと友川カズキ、北方ルネサンス絵画、映画、阪神タイガース(村山、江夏以来ですが、強すぎないこと希望、弱すぎはもっと困るが)。北欧の社会民主主義に対する憧れ強し。家族構成は連れ合いと娘三人。

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