rsn のフェリックス・マティスという記者が、自転車競技独立改革委員会(CIRC)の報告をまとめています。なに?それ? という人はこの記事の一番下に関連記事がリンクしてあるので、そちらからどうぞ。
まず、過去のアームストロングとUCIトップの関係ばかり注目したくなるんですが、それ以上に現状に対する悲観的な見方に驚きます。報告書は227ページにわたるものだそうで、選手、チーム監督、医師、スポンサー、ジャーナリストなどに聞き取りを行った結果、過去15年で自転車競技はかなりクリーンになったという一般的な見解に冷や水を浴びせるような内容です。「ある尊敬されているプロ選手は、今日でもプロトンの90%はドーピングをしているのではないかと言い、また他の選手は20%はしていると言っている。しかし多くの選手は一様に、誰がクリーンで誰がやっているかは知らないと言っている」とのこと。
90%はにわかには信じられないけど、20%というのでも、僕としてはかなりショッキングです。今検索すると、
敬愛する栗村さんもこの話について書いていますね。
むろん、あくまでも一選手の発言であって、CIRCが90%とか20%と断定しているわけではありません。
ただこれらの曖昧な証言の理由として、CIRCが言っているのは、今日ではドーピングをする選手は、チームぐるみでやっているケースはほとんどなく、選手が個人で、仲介者を介して、チーム外の著名なドーピング医を利用しているからだと言っています。
報告でも「もっとも重要な変化は、UCIワールドツアーレベルではドーピングがチームぐるみでシステマチックに行われることはもはやない、ということだ」とあります。これは明らかに進歩ですね。
そして、インターネットで東ヨーロッパやアジアから簡単にドーピング薬物を手に入れることができるけど、やはりキーになるのは医者で、バイオロジカルパスポートのおかげで、ポジティブになるのを防ぐために、より複雑な医者による処方・管理が必要になっているというわけです。
また以前クックソンの話として、将来は夜中にドーピングチェックをしたいといっていた理由も、これまでの(競技外)抜き打ち検査は朝に行われ(これはマルティンやデーゲンコルプの過去のブログでも書かれていたことがありました)、ドーパーたちは翌朝に残らないように夕方に微量の薬を使うのが通例だったそうなので、夜中にチェックするという話になったのでしょう。
それ以外にもバイオロジカルパスポートや選手が滞在場所を申告しなければならないシステムの問題点も提示されていますが、ちょっと具体的すぎてプロ選手ならざる素人には煩雑すぎるのでパス。
ただ、かつて、おおっぴらにやられていたEPOによるドーピングでは、能力は人によっては10%から15%も向上させることができたが、これは現在では不可能で、微量の使用ではせいぜい3%から5%程度だとも言われているようです。これだってグランツールのような過酷なレースだと、とんでもなく大きな差になるでしょうけどね。

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