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朴裕河(パク・ユハ)「帝国の慰安婦」覚書き

2015.02.07.01:50


帝国の慰安婦 植民地支配と記憶の闘い帝国の慰安婦 植民地支配と記憶の闘い
(2014/11/07)
朴 裕河

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先ほど読み終わったところですが、噂通りの凄い本でした。うまくまとめられそうにないんだけど、ちょっと考えたことを書いておきます。

僕は正直に言って、慰安婦問題に関心があったわけではありません。ただ、前にも書いたことがあるけど、韓国の反日的傾向については、そりゃあ日本は嫌われて当然だろう、と思うわけです。だって、長年植民地として差別され、大日本帝国の一員として戦場に連れていかれ、戦争が終わったら、今度は東西冷戦の真っ只中へ放り込まれて、朝鮮戦争で同族同志で殺し合い、その間、かつての宗主国日本は、その戦争で大もうけしたわけですから。さらに憲法のおかげで日本が平和を謳歌していた間、韓国は軍事独裁政権の下で戦前の日本みたいな社会だったわけだし、アメリカ軍のお先棒担ぎでベトナム戦争にも駆り出された。韓国の立場に立てば、日本が愛すべき国であるはずはないですよ。まずは日本人がこうした歴史をしっかり自覚しておくのが大前提だと思うわけです。前にも関東大震災での朝鮮人虐殺の本を紹介したときに書いたように、こうしたことを知らない人が多すぎると思うわけです。知った上で、現在の関係について是々非々で話をしていくというのが筋でしょう。

で、この本のスタンスも、まずは大日本帝国の帝国主義が一番の原因だったことを前提にして、その上で、個別に韓国の「慰安婦問題」に関する主張の矛盾を次々と突いていきます。とくに日本人が言えば見苦しくなるようなことを、韓国人の著者が指摘したことには大きな意味があるのでしょう。指摘の内容を箇条書きにすれば次のようになりますが、詳しくは本を読んでもらうしかないです。

● 問題を提起した韓国の支援団体が挺身隊と慰安婦を勘違いしていたこと
● 業者が軍隊と慰安婦を媒介したこと、
● 革新政権のもとで出された「村山談話」が、実は自民党の戦後処理についての思考につながっていたこと
● 韓国には責任回避の「小細工」としか理解されなかった「アジア女性基金」が、「河野談話」と「村山談話」の精神を受け継いだものだったこと、
● その基金から「償い金」を受け取った韓国人元慰安婦が約60人もいること、
● 日韓国交正常化の時、日本は個人への賠償を残しておこうと提案したのに、韓国政府が代表して受け取ってしまったこと(p.320)

だけど、もちろんこのように韓国の主張の矛盾を突きながら、ここに続けて次のように続きます。

これらすべてを考慮しても、女性たちに地獄を経験させた責任が大日本帝国にあることはいうまでもありません(p.320)

批判は日本の慰安婦支援の立場に立つ人たちに対しても向けられ、その硬直化した過剰に政治的なやり方(以前紹介した山崎行太郎の本の「イデオロギー化」が劣化につながるという言葉を思い出させます)が、かえって現在の日本の嫌韓ブームを助長した、と手厳しいものがあります。だけど、嫌韓派から撤回しろと言われている「河野談話」についても、また支援派からの批判が多い「アジア女性基金」も、どちらもこの本で読み解かれていることを理解すれば、それぞれが見方を変えるのではないでしょうか。

その上で、具体的に両国の現状を打破するための提言として、早急に半年から一年の期間を決めて合意することを前提に対話を始めることだと言っています。確かにこのまま言い合っていても何も決まらないし、それどころか双方で憎しみだけを募らせることになるのでしょう。この提言をきっと日和見と言うサヨクもいるだろうし、一方で例によって耳を貸さないウヨクもいるだろうけど、お互い罵り合って、どうなるというのでしょう。

丁度、今の世界の状況と同じです。911の時にブッシュはテロリストとの戦争だと言って、アメリカは結局ビン・ラディンを殺すことまでしたけどテロが終わったでしょうか? では、さらに「敵」を全滅させれば終わるでしょうか? しかし全滅って一人残らず殺すってことでしょう? そんなことなんて絶対できないでしょう? そもそも「敵を全滅させる」なんていう恐ろしい感性がのさばるような世界に、あなたは住みたいですか?? もし仮に全滅させたとして、その後はどうなるのでしょう?? 永遠に新たな敵が現れ、永遠にそうして現れた新たな敵を全滅させなければ安心できなくなるでしょう。どこかで話し合いの場を作らなくては、どうしようもない、それはできるだけ早いほうがいいでしょう。

話を戻しますが、日本軍の兵隊にもいろんな人がいたように、慰安婦にもいろんな人がいたわけで、それを「強制連行された少女」とか「売春婦」なんて言う具合に、なにか一律にレッテルを貼ってわかりやすくしてしまうことが問題なんです。この本の中にも、元慰安婦たちの回想集からいろんなエピソードが語られていて、思わず涙をこらえられないような話もいくつも出てきます。それは彼女たちだけが可哀想なのではなく、日本人兵士たちも可哀想だし、慰安婦があまりに幼いので軍人たちがみんなで気の毒がって朝鮮に帰らせた話(これも逆の意味での軍の関与ですが)のような感動的な話もあります。だけど、なによりも、帝国主義的な方向へ向かったときの「国」というシステムが国民に様々なことを強要するおぞましさにも気が付くでしょう。

結局いつもの話の繰り返しになってしまったようです 苦笑) こういう問題って、○か×か、という単純化が、人々を暴走させ、極端な方向へ向かわせる一番怖いことなんですね。

追記。加筆しました。2/7、10:20



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アンコウ

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あんけ・たつや。欧州ロードレースに興味を持ってすでに30年以上。主にドイツ人選手を応援。特に青田刈りにいそしむ。歳にも関わらず、あらゆる点ですごいミーハー。そのほか好きなものは、読書、音楽はバッハと友川カズキ、北方ルネサンス絵画、映画、阪神タイガース(村山、江夏以来ですが、強すぎないこと希望、弱すぎはもっと困るが)。北欧の社会民主主義に対する憧れ強し。家族構成は連れ合いと娘三人。

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