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死刑制度のこと

2015.01.23.22:06

ゲシュケのダウン・アンダー日記を読みに拙ブログを訪れて下さった方の中にも、きっと死刑制度はあったほうがいいよね、と考えている方がたくさんいるだろうと思う。ただ、それはどこまで深く考えた末のことなのだろうか? 殺人事件があると、犯人がいかに凶悪かを煽るTVやその他のマスコミの話を丸呑みしているだけではないのか? しかし、袴田事件のときも、当時の新聞で、袴田さんはいかに凶悪で野蛮なボクサー崩れであるかが強調されていた。

この数日、表現の自由について書いた拙ブログにコメントをくれた方との話で、どういうわけか、ついで程度に死刑制度には反対だと書いたら、それに食いついてきて、ものすごい剣幕でおまえの身内が殺害(二度目の文言は「あなたの娘さんを凌辱殺害さらにあなたを含む一族を根絶やしに」 笑)されて犯人が全く反省もしていなくても死刑に反対できるんだな、とすごまれた。死刑賛成派の中にはこういう人がとても多いように感じる。数年前にも酒の席で僕は死刑制度に反対ですと何気なく言ったら、向かいに座っていた人が、やはりものすごい剣幕で同じようなことを言ってきたことがあった。

なぜなんだろう、死刑制度に反対すると、当事者でもないくせに異常に激高する人がいるのは? それも結構多いような気がする。まるで、「死刑制度に反対だぁ?? じゃあオレがおまえの身内を殺してやる」、とでも言わんばかりの剣幕。

前にも書いたことがあるけど、当事者になれば犯人を殺してやりたいほど憎むのは当たり前だ。それは万が一僕が当事者になった場合でも同じだ。犯人をこの手で殺したいほど憎むだろう。なんだ、ダブルスタンダードじゃないか!という声がすでに聞こえてくるね。でも、当事者でもない人がなぜあんなに他人の憎しみを共有したがるんだろう? また、死刑制度の話になると、こういう極端な話にしたがるのはなぜなんだろう? 殺人事件は年間約340件(無理心中で生き残ったケースも含む)。本当はもっと多いという人もいるけど、死刑をとっくに廃止したヨーロッパ諸国などと比べても低い数値だろう。

結局、みんなは、まれにある凶悪事件を映画のように見ているのではないだろうか? 前にも書いたけど、ダーティー・ハリーみたいに、悪い奴はあくまでも骨の髄まで悪党で、最後は撃ち殺されて、ざまあみろ、ああ、スカッとした、というのと同じ気持ちで現実の世界を見ているのではないだろうか? ダーティー・ハリーならそこで幕だけど、現実の世界はまだまだ続くんだよ。当事者にしてみれば、犯人が死刑になったって、悲しみは一生消えないだろう。(だから死刑なんて必要ないという論法ではないので、念のため)死刑賛成というひとは悪いヤツが死ねばそれで終わりだろうけど、当事者にとってはそうじゃない。

「どうすれば死刑という残虐で残酷な刑が下されない社会にできるか。それを考える契機にならなければ、わたしの妻と娘、そして被告人も犬死にです」

もう一度この本村さんの言葉を思い出しておきたい。死刑制度については過去に何度も繰り返してきたので、興味のある方は以下のリンク先の過去記事を、是非読んでみて下さい。

死刑制度について
光市事件、死刑確定に思うこと
再び本村さんの言葉を考える
再び本村さんの言葉を考える つづき
あれから一年



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comment

アンコウ
BAKU さん、

はじめまして。コメントをありがとうございました。

死刑制度に賛成の人が多いのは、やっぱりマスコミや、映画やドラマの影響が大きいような気がします。

それから、更生できないような悪人がいるのかどうか。もし本当にそういう人がいれば、それは刑罰以前に治療が必要なのではないか、そんな気もしています。なかなか簡単にまとめられないことだとは思うのですが。。。
2015.01.29 21:23
BAKU
はじめまして

死刑制度に反対です。
一番大きな理由は誤判の場合に救済できないからです。

冤罪で一人を死刑にするより死刑囚を100人釈放した方が遥かにましだと考えます。

人が人を裁くのに完全無欠などあろうはずがありません。

昨今、死刑になりたいために犯罪を犯す者もいます。抑止力どころか自殺幇助の場合すらあります。

もし自分の家族が被害に遭ったら死刑にするより真人間になって一生かけて償い、毎月命日に墓前手を合わせる方が救われると思います。

真の更正が出来ないなら復習するかも知れませんが。

世論は賛成が大多数ですが木を見て森を見ずのような方が多いように感じます。




2015.01.29 19:53
アンコウ
CYPRESSさん、

ダーティー・ハリーは昔シリーズをまとめて見て、途中で見る側の悪に対する怒りを煽っているな、と気が付いた瞬間に冷めました 笑) それ以来、一応、好きじゃないと言うことにしてます。

イーストウッド監督の映画は私もまあ比較的好きなほうかな。硫黄島や許されざる者は、アマゾンでレビューを書いた記憶があるけど、何書いたかなぁ。

最近NHKBSで見た50年代の西部劇、「草原の野獣」だったかな? それから貴殿お気に入りのJ・スチアートの「折れた矢」なんかは、それ以前のネイティブアメリカンとは違う扱いになっているものがあったよ。とくに後者は290円DVDにもあるので、よろしければ見てみてみてね。
2015.01.25 00:34
CYPRESS
少々本題から離れますが『ダーティハリー』について。
このシリーズの第一作目と第二作目は「法と正義」についての映画です。
イーストウッド演じる主人公キャラハン刑事は警察官、司法関係者として「法か正義か」の選択を迫られた時、
必ず馬鹿正直に「法」を選びます。
しかし、キャラハン刑事も人間。
失敗もします。
第一作目が素晴らしい点はキャラハン刑事が怒りにまかせて被疑者を傷めつけ過ぎ法を適切に行わなかったために、被疑者が釈放されます(@_@)。
つまり、「警察官なら正義のためにどんなことをしても許される」、を否定した画期的は作品です。
目的が手段を正当化していないんです。
キャラハン刑事はやたらと銃を撃つ印象がありますが、たとえキャラハン刑事が被疑者に銃を向けたとしても、相手が発砲するまでキャラハン刑事は決して撃たない演出になっています。
この演出は徹底していて第一作目の最後で敵役のスコルピオが誘拐した子供の頭に銃を向けても、キャラハン刑事はまだ撃ちません。

イーストウッドの映画の中での銃の演出は『ダーティハリー』以降も変わりません、私が観た限りでは(^_^;)。
『グラン・トリノ』
『硫黄島からの手紙』
『許されざる者』(→善と悪の灰色地帯を描いた佳作。ロケ地が暗示する事は素晴らしいし、敵役を演じるジーン・ハックマンが好演)

イーストウッドの映画がやたらと銃を撃つ印象が強いのは、『荒野の用心棒』や『夕陽のガンマン』等マカロニウエスタンの影響でしょう。

『ダーティハリー』が作られた前年1970年には西部劇の画期的作品で、転換点となった『ソルジャーブルー』が作られています。

勧善懲悪、善と悪を完全二分化してるのは『太陽にほえろ!』や『西部警察』です。
日本の警察系ドラマで捜査中に素人目にも明らかに法律を犯さなくなったのは2009年の『BOSS』あたりからですな。
正義のためなら何でも許される水戸黄門型警察系ドラマが冤罪の温床になってると思ってるのは私だけでしょうか?

2015.01.24 00:38

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アンコウ

アンコウ
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あんけ・たつや。欧州ロードレースに興味を持ってすでに30年以上。主にドイツ人選手を応援。特に青田刈りにいそしむ。歳にも関わらず、あらゆる点ですごいミーハー。そのほか好きなものは、読書、音楽はバッハと友川カズキ、北方ルネサンス絵画、映画、阪神タイガース(村山、江夏以来ですが、強すぎないこと希望、弱すぎはもっと困るが)。北欧の社会民主主義に対する憧れ強し。家族構成は連れ合いと娘三人。

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