この問題、なかなかね。ヘンな事書けないよね。表現の自由を守れ、って言われると、それに反論なんかできない。ただ、表現の自由って、誰が誰に向かって何を言っても良いっていうことなんだろうか? そう問えば多くの人が違うって思うんじゃないだろうか?
表現の自由を保障しているのは日本では憲法だ。憲法21条に「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」とある。つまりここで考えられているのは弱い立場にある国民の、権力に対する言論の自由を保障しているっていうことなんだと思う。強い立場の者が弱い立場の人たちや少数派に対して、何を言っても良いっていう意味じゃないだろう。ここをしっかり押さえておかないと、昨今のヘイトスピーチだって表現の自由だってことになる。
ここでは強い立場と弱い立場というかなりあやふやな言い方をしたけど、これを明確に定義するのは難しそう。でも、これは常識で考えるべき問題なんだろうね。どこかの誰かがそれを決められるはずはないからね。
さて、今回のイスラムに対する風刺とそれに対するテロ。なにかどうも個人的に気持ちが悪いのに、どこがどう気持ちが悪いのかがはっきり言えない。ただ、イスラム教の国々っていうのは、歴史的に見て西欧キリスト教国家の植民地にされたり、搾取されたり抑圧されてきた国だ。今でもヨーロッパの国々に比べれば貧しいし、どう考えたって西欧に対しては弱い立場にあるんじゃないか。
そういう西欧に対して弱い立場にある人々に、見下ろすように、表現の自由は最大限尊重されなければならないのだ、とばかりに、彼らが素朴に信じているムハンマドを揶揄してよかったのかどうか。
ただ、一筋縄ではいかないのは、たしかにイスラムの教えは近代の人権感覚から言えばかなり遅れているし、原理主義的な不寛容さもあるんだろう。だけど、それだって、ひどい目に合わされてきた西欧に対する反発という面もあるだろうし、原理主義的になるのはイスラム教のせいではなく、むしろ彼らをそのように追い詰めてしまった西欧のせいだ、とも言える。
そんな風に考えていくと、今回の表現の自由という文言を盾にした宗教観の違いとか文化の違いとかと言って話を簡単にしてしまうのはまずいんじゃないかっていう気がしてならないんだけどねぇ。

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