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土井雪広「敗北のない競技」

2014.06.24.22:13


敗北のない競技:僕の見たサイクルロードレース敗北のない競技:僕の見たサイクルロードレース
(2014/04/18)
土井 雪広

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おもしろかった。土井選手の成長の物語でもあり、最後はほとんど泣きそうになった。だいぶ前に話題になった某ロードレースラノベなんかよりずっとおもしろく感動的だった。なんといっても作り物じゃないし、話に無理がないし、へんに感動させてやろうという作為がない。

ドーピングについてもかなりきわどい話が出てくる。むろん土井選手個人は禁止薬物に手は出さない。しかし、ここに書かれているドーピングについての書き方は、きっと不満を持つ読者もいるだろう。土井選手のドーピングに対する態度が、「仕方がない」と言っているように読めるところもあるからだ。明け方のホテルの隣のベッドで注射器を片手にしたルームメイトに対する態度も、もっと批判的に書いても良いような気がしないでもない。

でも、逆に、きっと、そういうものなのだろうというリアリティも感じられる。まだ現役の選手として、偉そうにドーピングをするような選手を批判はしたくないのだろう。

ちょっと以外だったのだけど、陽性になった後もなかなか認めず、すっかり悪役のシューマッハーも良い奴だったりする。

「悪いヤツがズルするためにドーピングに手を出す。それが日本での「ドーピング」のイメージだと思う。でも、現実はそんなに単純じゃない。」(p.60)

これは拙ブログで繰り返し述べてきたように、この世の中には99.9%の普通の人と0.1%の悪人がいるわけではないというのに通じると思う。さらに、禁止薬物リストに載っていない合法薬はどのチームもレース中にも使っているという話。まあ、これはある程度聞いたことのある話ではあったけど、自分の体験も赤裸々に語っているのは潔い。以前僕が書いたドーピングをめぐる話が、まだまだ甘いことも感じさせられた

個人的には拙ブログおなじみの選手たちの名前が次々上がり、キッテルがとっても良い奴だったり、デーゲンコルプが豪快ながら、なかなかの心配りをする奴だったり、その前に出てきたパウル・マルテンスも含めてドイツ人選手たちがみんな良い奴らなのが楽しい。

最後のブエルタは拙ブログでも熱心に追いかけ、フレーリンガーやデーゲンコルプのブログを紹介したりしたので、とても印象に残っている。それだけにこのラストはほとんど泣きそうになった。

ロードレースファンなら絶対にお勧め。



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comment

アンコウ
momoさん、

こんにちは。おっしゃるとおりですね。

拙ブログでおなじみのフレーリンガーも、個人的な成績はツールの山岳ステージで6年ぐらい前に一度だけ3位になったことがあるだけで、ここ2年ほどは20位以内に入ったこともありません。でも、この本でも書かれていたように、ブエルタの全体キャプテンでした (p.141)。チームTTでも彼がスピードの指示をだしていたということですし、そういうところはもっと強調しても良いのでしょうね。どうしても勝ったキッテルやデーゲンコルプばかり注目されがちですが、彼らもレース後にチームメイトたちに感謝しまくっているのはもっと知られて欲しいところです。

そして、エースはこうしたアシストたちに対する責任を負えるだけの強い精神力が必要なんだろうし、アシストも自分が勝つのではなく、仲間を勝たせることに喜びを見出すというのは、以前に書いた文言ですが、自転車レースはやっぱり「ひとりはみんなのために、みんなはひとりのために」という古風な言葉を思い出させられます。
2014.06.26 13:04
momo
こんにちは。

私も少し前に読みました。本当に面白かったです。
Amazonのレビューでは「とても良かった」という評価と「でもドーピングの件は‥」というような感想が多いようですが、私が一番「そうか」って思ったのは“アシスト”についてです。

長年この競技を見ている方にはアシストの存在はあたりまえだと思うのですが、私には自分自身には良い成績が出にくいアシスト選手の競技に対するモチベーションなり心理がどういうものなのか、というところがよくわかりませんでした。
それが、この本でなんとなくわかった気がしました。
もちろん、アシストしている選手が全員土井選手のような心境ではないのでしょうが、私も自分は裏方仕事が得意だし性に合っているので、実際に行われたレースとともに語られる「アシストという仕事が好き」というところにとても共感できました。
2014.06.26 06:41

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アンコウ

アンコウ
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あんけ・たつや。欧州ロードレースに興味を持ってすでに30年以上。主にドイツ人選手を応援。特に青田刈りにいそしむ。歳にも関わらず、あらゆる点ですごいミーハー。そのほか好きなものは、読書、音楽はバッハと友川カズキ、北方ルネサンス絵画、映画、阪神タイガース(村山、江夏以来ですが、強すぎないこと希望、弱すぎはもっと困るが)。北欧の社会民主主義に対する憧れ強し。家族構成は連れ合いと娘三人。

* 時々コメントが迷惑コメントとしてゴミ箱に入れられることがあるようです。承認待ちが表示されない場合は、ご面倒でも書き直しをお願いします。2017年8月3日記す(22年3月2日更新)

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