レオナルド・ダ・ヴィンチの生涯を見たくて契約したミステリーチャンネル、なんとベイジル・ラスボーンの白黒ホームズとロシア版のホームズまで放送してくれて大感激。とくにロシア版のホームズはすごかったです。ロシア語をしゃべって、ミスタル・ヴァトゥスン、ミスタル・ホルムズと呼び合っているし、町中の様子も風景も、どうみてもロシアだろう、っていうのはおいといて、主演の二人がほんとうにホームズとワトソンにしか見えない。
たしかに歴代のホームズもワトソンもみんなホームズとワトソンにぴったりの訳者ばかりなんですけどね。上記の戦前のラスボーンのホームズも、長身痩躯で顔の皮の薄そうな、鷲鼻のオールバックで、とても品がよさそう。ただねぇ、ナチスのスパイの陰謀を暴くホームズってちょっと無理がない??
初めてNHKで放映されたときには、こんな俳優がいたんだ!まるっきりホームズじゃん!と思ったグラナダTVのジェレミー・ブレットも確かにすごいんだけど、ちょっと年齢がねぇ。
と偉そうに言いながら、ぼくはいわゆるシャーロキアンではない。ホームズは我が家に新潮文庫で全部あって、高校時代に一度「緋色の研究」を読み始めて、途中まで読んだけど、後半は挫折。その後1年ぐらいして、やっと一気に全巻読んだけど、読んだのはそのとき一度だけ。ジェレミー・ブレットのドラマで見るまでは「まだらのひも」以外は内容をほとんど忘れていた。だけど、ホームズの印象って、やっぱり40歳ぐらいまでっていうイメージがある。ジェレミー・ブレットは50ぐらいになってからホームズに取り組んでいるので、その点にちょっと不満。
他にもこのところNHKでやっている現代版にした「シャーロック」っていう奴。僕の好みはやっぱり19世紀末のロンドンのホームズじゃないと嫌なので、録画はしてあるけど見てないんだわ。
で、このロシア版ホームズに戻ります。例によって、この時代のロシア映画特有の緑が勝った画面。ロンドンの雰囲気を出そうとしているけど、やっぱりロシアだよ。モリアティ教授との決戦の場ライヘンバッハの滝も本物じゃないし、そこへ行く途中の列車からの風景がロシアの草原と林だ。ロンドン郊外の村も、あの泥道はどう考えてもロシアでしょう。室内の暗い雰囲気だって、ありゃあロシアだよ。ロシア映画をいくつか見た人なら納得すると思う。
そんななのに、このロシア版ホームズ、素晴らしいんですよ。ホームズ訳はリヴァーノフという俳優で、ブレットやラスボーンに比べると品位の面でちょっと落ちるかなぁ。ファウスト・コッピに、天知茂の眉毛と目を組み込んだみたいな顔で 笑)ダミ声なんだけどね。ところがこのドラマが出来が良い。ホームズの話をいくつか組み込んであって、「ボヘミアの醜聞」なんか思い出のなかで再現されたりする。ワトソン役もラスボーン版もブレット版もこのロシア版もみんなよく似ていて、甲乙つけがたいけど、このロシア版のは他のより重要性が高い。他のワトソンがホームズの邪魔にならないようにしている感じなのに対して、ここではもう少し前面に出ている感じがする。
敵役のモリアティ教授もクモ男みたいで、これがまた凶悪な感じでいい。「バスカヴィル家の犬」ではタルコフスキーの「鏡」と「ノスタルジア」のオレーグ・ヤンコフスキーとニキータ・ミハルコフが出てきてビックリ。だけどミハルコフのあの騒々しさはやっぱりご本人が監督した「機械仕掛けのピアノのための未完成の戯曲」みたいなところがあって、ちょっとやり過ぎじゃない?と思ったりもしたけど。
いずれにしても見終わってしまって、なんかもう新しいのがないんだと思ったら、とても悲しい気分になった。それぐらいこのロシア版ホームズとワトソンには参っているところです。まあ、僕の場合、ロシア映画ヲタクだった時期があって、あの緑の勝った画面が大好きだっていうこともあるので、その点、多少点数が甘いかもしれませんが。
追記

こんな本があったので思わず購入 笑)

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