もう1週間前に読んだ本。すぐに感想を書いてアップしようと思っていたのに、急遽忙しくなってしまったのでした。やっと一段落。でもまたすぐ忙しくなりそう。
さて、途中まではものすごくおもしろかった。過疎の漁師町が電力会社に取り込まれていく様子や、町が賛成派と反対派に二分されてしまう様子、そうしたときの漁業組合の対応などもすごくリアリティがあった。舞台も陸央、陸南、陸北とあちこち飛ぶけど、イメージしやすい。それぞれの場所で起きる出来事も、これからどうなるのだろうと期待させる。だけど、それも途中まで。
デウス・エクス・マキーナという言葉がある。「機械仕掛けの神さま」という意味で、ギリシャ演劇で、錯綜した解決のつきそうにないストーリーが、突然上から機械仕掛けで神さまが降りてきて、すべてを解決して、チャンチャン というはなはだご都合主義的なお話のことだ。ヴィキペディアでも出ている。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A6%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%82%AD%E3%83%8Aまさにこの言葉を思い浮かべた。この小説での神さまは地震と津波だ。
前半は登場人物の個性も出ていて、話はあっちへ行ったりこっちへ行ったりするけど、それほどへんな錯綜した感じはなかったのに、すべては地震まで。地震の後はもうなんかつじつま合わせじみていて、しかも話そのものがうまくいきすぎ。悪役たちも、ちょっとそりゃあないだろう、ってどんでん返し。敵が味方だったり、味方が敵だったりしたあげくに、最後に、それまでばらばらに出ていた登場人物のつながりが見えてくるわけだけど、それがあまりに作為的というか、ノーテンキというか。。。なんていうのかなぁ、最近のエンタメって無茶などんでん返しで読者をあっといわせないといけない、って勘違いしてない?
ただ、ほんとうの東日本大震災でも、その後の復興がこの小説の最後のように、すべてがうまくいってくれれば良かったのだけどね。そういう意味では、この強引な幕引きは、作者の優しさを表しているのかもしれない。

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