表題にもあるように、完全にネタバレですので、途中からはマスクしておきます。
この「驚愕のラスト」の映画をこれから見るつもりの方は、下の
Read more... をクリックしないようにお願いします 笑)
アイザック・アシモフの「暗黒星雲のかなた」だったかなぁ、大宇宙中でみんなが探している文書がアメリカ合衆国の独立宣言だったのって。高校生の時に読んだから、そんなもんか、と思ったけど、今から見れば鼻白む話だ。
数日前にスカパーで見たこの映画も、そういう意味ではちょっとね。この映画も主人公が運ぶ本がなにか、っていうのがポイントなんだけど。
--------注意!! 以下、完全ネタバレです-------
ただ、アシモフほど引っ張らずに、途中で聖書だとわかる。ただ、それが点字というのは、たしかに大どんでん返しだわ。衝撃のラストだわ。でも、やっぱり説得力はゼロ。それに点字の旧約聖書と新約聖書をあわせたら、あんな厚さじゃ済まない。ちょっとした辞書だって点字本なら本棚ひとつが一杯になるもの。
最後は口述して聖書を後世に残すわけだけど、トリュフォーが映画にしたレイ・ブラッドベリの「華氏451」も、書物が禁じられた独裁国家、監視国家で、心ある人々は各人一人一冊の本を記憶して後代に伝えていくっていう話だった。むろん特撮なんか比べものにならないとしても、でも、映画として歴史に残るのは「華氏451」の方だろう。
戦争により生き残った人類はわずかで、世界は荒廃しきって、食べ物も少ないので人肉まで食らうようになっているっていうSFだけど、
以前に書いた「ザ・ロード」と比べるとちょっとタイプは違う。僕の好みは「ザ・ロード」だな。まあ、比べものにならないかな。だって、こちらは破綻してるからね。無理がありすぎ。確かにアクションはすごい迫力だし、破滅した世界とグレーの色調(これは「ザ・ロード」と同様リリックな感じがある)も魅力的ではあるし、主役のデイゼル・ワシントンも良いけどね。でも、撃たれて倒れても、しばらくして見に来てみるとテクテク歩いてるし 笑)
ただなぁ、CGって何でもできるようになっちゃったから、何をしても感動が薄いよね。昔、映画館で初めて「スターウォーズ」の最初の奴を見たとき、冒頭、帝国軍の巨大な宇宙船が出てきて、いつまでも延々と続いていくシーンなんか、ほんとうに度肝を抜かれたし、感動したものだったけどねぇ。
これまでも何度も書いてきたようにウチの長女は全盲だから、全盲の人のしぐさは見慣れている。だから、最後、ワシントンが実は盲人だったと分かって、こんなのむちゃくちゃや、と呆れた。まあ、キムタクの時代劇にもあったけど、あんなアクション無理ですよ。確かに、途中でライターに火を付けたときに手をかざしたりして、それとなく伏線みたいなのを張っているんだろうけどね。襲いかかる敵をつぎつぎにバサバサ切り捨て、果ては弓や銃までぶっ放すって、そりゃあ、おめえさんがた、無理ってもんでござんすよ、へへへへ。(と勝新の座頭市の声音でお願いします)
それ以上に気になったのは、聖書に対する「ありがたがりよう」だ。現在の聖書というのはイエスが言ったことそのままではなく、イエスが死んだあと100年ぐらいの間の、原始キリスト教団内部での権力闘争による、いわば勝ち組の残した文章だ。これは20世紀後半に奇跡的につぎつぎに見つかったその当時のさまざまな死海写本によって明らかにされているわけ。世界がいちど破滅した後に、そんなものをありがたがるかいな? みんなが宗教のことをわすれたのに、そこにまた宗教を広めれば、いずれまた世界戦争だろう。それになぜキリスト教? 仏典やコーランは? しかもワシントンは(神の?)声に導かれて歩いて行くんだってさ。なんかアメリカ的なご都合主義を感じて、気色が悪い。
まあ、こういうところを無視して、こんなケチを付けなければ、おもしろく見ることもできるのかもしれないけどねぇ。。。

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