fc2ブログ
2023 08 << 123456789101112131415161718192021222324252627282930>> 2023 10

パンターニ10回忌

2014.02.15.22:24

どうやらデーゲンコルプが地中海一周(ツール・メディテラニアン)で3連勝したようですね。TTスペシャリストのトビアス・ルードヴィクソンがカタパルトになったようです。彼のブログが更新されるのを待ちましょう。

昨日(14日)はパンターニの10回忌でした。そんな日に、ツール・メディテラニアンの山岳賞マイヨを取ったのがコロンビアのパンターノ 笑)まあ、それはともかく、各所でパンターニの話題が出ていて、cylingnews.com ではアームストロングの寄稿まで出ています。俺が大工なら奴はアーチストだった、と目一杯の称讃なんでしょう。パンターニもアームストロングもウルリッヒも、もうすでに過去の人で、若い人にとっては歴史の中なのかもしれません。辛口のrsnの記事を参考に、ちょっとパンターニの悲劇を辿ってみましょう。

まずは、パンターニがコカインの過剰摂取で死んだこと。これには薬を売った人物が2005年の裁判で有罪になっていますが、その後(二審で?)減刑されているそうです。理由は、一審ではパンターニの死を悼んだ世論の圧力で、不当な判決だったということのようです。そんなこともあってか、さまざまな憶測がいまだに消えません。

一つは、パンターニは自殺したのだというもの。それを主張する人たちは、遺書らしきものが見つかっていることと、パンターニが鬱状態だったことを理由に挙げています。

パンターニの両親は、息子は殺されたのだ、と主張。パンターニは他のドーパーの名前を開かすつもりで、それを知った者が彼の口をふさいだというわけです。

まあ、一番普通に考えられるのは、パンターニは死ぬつもりなどなかったけど、間違って薬を多量に摂取して死んでしまったというもの。いずれにしても、死因はコカインの過剰摂取であることは間違いないそうです。

パンターニを最初に知ったのは1994年のジロでした。むろんスカパーもなかったから市販のビデオを購入して、何度も繰り返し見ましたね。当時はイタリアの英雄は同じカレラチームのクラウディオ・キアプッチで、パンターニも彼のアシストとして出場したはずですが、山岳ステージで2勝して総合2位になり(キアプッチは5位)、一躍人々の注目の的となったのでした。この二人はよく似ていて、山岳スペシャリストであるとともに、何しろ意表を突くアタックで有名だったんですね。キアプッチの場合は1992年のセストリエールへの単独アタックが有名だし、パンターニはウルリッヒを9分引き離したガリビエのアタックでしょう。ただ、キアプッチの場合はとうとう2位止まりでしたけど。

山岳での強さもさることながら、レース中に車にぶつかって重傷を負ったり、復帰したと思ったら、飛び出した犬に当たったりと、まあ、劇的なキャリアだったことも、人気の秘密だったと思います。で、その劇的なキャリアの最大のものが1999年のジロ。最終日1日前にヘマトクリット値が高すぎて、レース出走停止(この時点ではドーピングではありません)で総合優勝を逃したんですね。

その後、2000年のツールでヴァントゥとクールシュヴェルで優勝するんですが、それが最後の輝きになってしまいました。ヴァントゥはアームストロングがパンターニに勝たせてやったと言って、パンターニが激怒し、その後アタックを繰り返して、ついにはクールシュヴェルで勝つんです。だけど、その後はアタックしすぎで潰れてリタイアするんですね。

この時代の悲劇のスター選手は、みんな似ているんですね。ベルギーのフランク・ファンデンブラウクもドーピングで引っかかった後、鬱病から自殺未遂を引き起こし、結局心臓発作で35歳で死んでしまいました。個人的にはこの選手、1999年のウルリッヒが優勝したときのブエルタで、城塞都市アビラの入り口の石畳の登りでのアタックが、ものすごかったんですよ。この町がまた、アラビアンナイトみたいな異国情緒のある不気味な町で、TVで見た初めてのブエルタで、ほんとうに感動しましたね。

また、以前、拙ブログでもご紹介したスペインのホセ・マリア・ヒメネスも、ドーピング検査で引っかかったことは一度もありませんでしたが、鬱病が原因で引退したあと、パンターニの死の少し前に32歳で死んだのでした。この選手についてはすでに書いたけど、やっぱり1999年のアングリル初登場のステージの大逆転勝利ですね。

パンターニも鬱病だし、3人とも(ヒメネスはあくまで推定ですが)ドーピングの薬の副作用による鬱病の発症だそうです。この頃のドーピングのやり方って、やっぱりかなりむちゃくちゃだったんでしょうね。そういう意味ではアームストロングやチーム・テレコムのかなり大がかりで組織的(チームぐるみ)なやり方は、ある意味(むろん悪い意味で)「画期的」だったのかもしれません。

いずれにしても、すでに先に書いた車とぶつかった大けがの時にも、病院の検査ではパンターニのヘマトクリット値は60%を超えていたそうですから、この時点でつかまっていれば、その後はずいぶん違ったのかもしれません。いわば、スピード違反を犯して、パトカーを振り切って逃げる途中で別の事故を引き起こして、誰かを死なせてしまったり、あるいは自分自身が死んだりするような事件ってときどきありますが、そんなものを連想します。

ヒメネスもファンデンブラウクもパンターニも、三人とも愛称があって、順に「エル・チャバ(腕白小僧)」、「アンファン・テリブル(恐るべき子供)」、「ピラータ(海賊)」(パンターニの場合は他にもエレファンティノ(子象)なんてのもありました)と、ファンにとても愛されていた選手たちでした。ドーピングをしていなかったら、きっと今も生きていたんでしょう。



にほんブログ村 自転車ブログへ
にほんブログ村
送料無料!お取り寄せ通販特集
関連記事
スポンサーサイト



comment

Arturo
アンコウ様
まあ忘れた頃ネタ、その2と言う事で、(そう言えばついでに、先のランスネタ、素早いリアクション、遅まきながらどうもありがとうございました。)今日はあのマドンナ・ディ・カンピリョの日です。(21年経過 後述)

昨今はこんな状況で、テレビは再放送ラッシュ!?、スポーツ系は、ご多分に漏れず殆ど何もやってないしで、(勿論自転車系も、、)過去の名勝負特集みたいな感じで、穴埋め状態だしと言う事で、ここいらでパンターニを扱ってみては?等と思った次第です。えっ!?余計なお世話!?これは失礼しました!?。

でも食い下がりネタとして、下記リンクを貼っておきます。2年前の物ですが、なかなか見応えがある!?。ボカシ入れてあるものの、なかなか生々しい映像から始まる!?。消えた22000ユーロ!?。やはり彼は消された!?みたいな、、、、コカイン摂取はいいが、当該品(機材面含む)が部屋に何もない!?蒸発した!?そう言えばですが、日本でも和歌山の方で資産家がシャブ打たれて怪死!?ってのが世間を騒がしたりしましたね、、、
(残念ながら下記リンク、独語でなく、伊語放送ですが、、、でも仮にも公共の電話でこう言った3時間番組が報道される事に意義アリ!?日本では、報道対象にはまずならない!?)
 https://www.iene.mediaset.it/video/le-iene-presentano-come-e-morto-marco-pantani-_556962.shtml?fbclid=IwAR2gkCnNdvAEFpfJ0ulKM6rLR55oUjXn5hbjM0MsJjXUQDssnPlTvOBWcT4
2020.06.05 22:36
Arturo
なるほど、これは違う方向に突っ走った、との事で、これに反応すると、またまた、脱線の脱線になる!?(アンコウ様のペース!?)
 まあ、でもドーピングネタには過去にも反応した、記憶があるので、ダブり投稿はここでも回避しようと思います。
  でもね、確かに、”公平だ”と言うのは、僕もアンコウ様同様、違和感アリですね。
  そして”ランスはカネの為に、しかしパンターニは~”のも、確かにもろ違和感アリですね。

  前にも投稿しましたか?!こっちは記憶が曖昧ですが、(いや高田馬場で話に出したか、、、!?)つい最近の話。
  日本人の女の人の話で、現地でイタリア人と国際結婚、パンターニと同じエミーリアロマーニャ地方に住んでいる人の話し。(ここでのポイントは別段自転車関連に特化している訳ではない、そう言う意味ではごく普通の人。)
  彼女の話の大意としては、パンターニのアシストをやっていた(と思われる。とにかく同じチーム、後述の通り、プロ時代ではなくアマ、ディレッタンテの時代の話。)人と知り合う機会があり、彼からの話で、パンターニの話(と言うか、当時のチームの話!?)を聞いた話でした。
 ”彼の話”の大意としては、まあ、ディレッタンテの時点で、ここまでやらないといけないのか!(勿論ヤクの話し)と驚愕して、結局、彼は上には行かなかった、と言う趣旨の内容でした。(実際には血を抜く話であるとか、彼女が聞いていて気持ちの良い気分になるとは言い難い話になる、、、)この元チームメイトは、結果、元同僚は活躍して一時、時代の寵児になったけど、今は、もうこの世にいない。しかし自分は未だ生きている。この辺を考えると、胸中複雑になる、と言うそう言う趣旨の話を、全く最近、全く想定していない女の人から聞いて、僕は胸中、複雑になった、と言う話、高田馬場でしたっけ?!。
2014.02.17 17:23
アンコウ
Arturo さん、

日本にもパンターニと聞くと、もう善悪の彼岸を越えちゃう人がたくさんいるので、あまりパンターニについては書きたくないんですよ 笑) 某所でも、まあアームストロングは金のためにドーピングしたがパンターニは違うという論調。うーん、かなり大きな違和感。

繰り返しになりますが、ドーピングは、あの時代みんなやっていたから公平だ、というのは絶対に違うんですよ。みんなが同じ医者のもとで、同じ処方箋をもらって、同じ量を、全く同じ方法でやっていたなら公平かもしれません。ただし、薬に対する耐性や合う合わないなど、いくらでも不公平は出てきます。本来、肉体ただ一つで戦うべきスポーツが、別の要素で強弱が左右されることが、やっぱり一番の問題なんだということです。

ドーピングするためにはものすごい金がかかったわけで、そこらのアシスト選手はそういう「優秀な」ドーピング医にかかることはできなかったわけですからね。

と、全く違う方向へ話がつっぱしってしまった。 汗)
2014.02.17 12:19
Arturo
アンコウ様。
  リクエストにお答えして戴き(えっ!?それとこれは無関係!?。こりゃ又失礼しました!?)どうもありがとうございます。
  パンターニは勿論、死去10年と言う事で、イタリアでもTVニュースネタになっていますね。まぁ、当該期日だけなんでしょうが、、アンコウ様の指摘されている件なんかも改めて取り沙汰されたりしていますね。(しかしだからと言って、新ネタがあるようには見えませんが、、、。)
 パンターニに関して、そしてエチャ-バ、バンデンブルックの辺り、もろ僕には同時代性があって懐かしく思いました。
 しかしパンターニに関しては、過去に記憶ネタは投稿した覚えがありますので、ダブり投稿は回避しようと思います。例えば、キャプッチの件だとか、、。(彼自身は、キャプッチと相似化されるのを「冗談じゃない。まったく別のタイプのアスリートだ。」状態で、嫌っていた、の件)或いは2000年、バントーの件だとかも、どちらかと言うと、これはランスネタでしたが、、、。
 でも2000年のツール、僕には、あのやり方は、彼らしい、”爆死”的な攻撃だったイメージがあります。(モルズィーヌのステージ。完全にこれで”圏外”の男となってしまった、、、)

  ついでに書いときますと、いつか投稿したNHKのクローズアップ現代記事、あの後、よくよく見たら、ちゃんと公式サイトに番組の内容が出てました。例えば、ハミルトンのコメントであるとか、番組の流れが一通り分かります。興味があればアクセスしてみて下さい。
 それと、いつか、高田馬場で言った、アンクティルのミステリー、と言う番組、これもよくよく見たらUチューブで見れました。勿論、全編仏語ですが、なにやら、蘭語!?のテロップが入っていましたので、アンコウ様なら類推出来るのでは?等と思いました。(只、全部見ても、当初の完全版ではなく、カットしてある模様、、、)
 それとついでのついでに、いつか複数回登場した、Tと言う人物、又久しぶりに会って、例の、ブラミンクのアシストの名前を聞き出そうとしたのですが、ペンを持って書こうとした所、「やっぱ、(古い記憶で)トロいマチガイを書きたくない。」と書いてくれませんでした。しかし二人の国籍は、イタリアとベルギーである事はマチガイなさそうです。(笑)
2014.02.15 23:22

post comment

  • comment
  • secret
  • 管理者にだけ表示を許可する

trackback

trackbackURL:http://tatsuya1956.blog48.fc2.com/tb.php/1620-6067ae99

プロフィール

アンコウ

アンコウ
**********************
あんけ・たつや。欧州ロードレースに興味を持ってすでに30年以上。主にドイツ人選手を応援。特に青田刈りにいそしむ。歳にも関わらず、あらゆる点ですごいミーハー。そのほか好きなものは、読書、音楽はバッハと友川カズキ、北方ルネサンス絵画、映画、阪神タイガース(村山、江夏以来ですが、強すぎないこと希望、弱すぎはもっと困るが)。北欧の社会民主主義に対する憧れ強し。家族構成は連れ合いと娘三人。

* 時々コメントが迷惑コメントとしてゴミ箱に入れられることがあるようです。承認待ちが表示されない場合は、ご面倒でも書き直しをお願いします。2017年8月3日記す(22年3月2日更新)

カテゴリー

openclose

FC2カウンター

Amazon

月別アーカイブ

検索フォーム