フランツ・カフカの未完の小説に「審判」というのがある。読んだのは学生時代だから、あまり細かいことは覚えてないけど、主人公のKはある日理由も告げられず、あなたは起訴されていると言われ、何が理由かと聞いても教えてくれない。自分で調べても要領を得ないまま、ある日「犬のように」殺される。まあ、例によってカフカらしい不条理の世界。朝目が覚めると虫になっていたり、山の城へ行かなくちゃいけないのに、どうしても行けなかったりっていう世界だ。
むろんカフカは自らのユダヤ系という出自を暗示したり、あるいはもっと大きな、普遍的な意味を重ねているんだろうけど、今回の秘密保護法案、カフカ的な世界が日本にも実際に到来するかもしれないっていう不安を感じさせる。国家機密漏洩で逮捕されて、納得がいかないから、俺がやった何が原因で逮捕されているんだ? と言っても、理由は国家秘密だから言えないというわけだ。
もうなにが国家秘密かわからないからね、人々は萎縮し、じっと黙ったままの羊みたいになるんだろうね。考えないことが一番だというわけ。そうして中国や韓国に対しては感情だけで反応する。そうそう簡単に戦争にはならないだろうとは思うよ。だけど、ナチスが台頭した頃、反ナチスの多くのドイツ人やユダヤ人は、ヒトラーは愚かだけど、戦争するほどイカれてない(映画「ミケランジェロの暗号」の台詞)と思っていたわけ。今の日本も、そうウカウカしていられないと思うけど。。。

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