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山崎行太郎の曾野綾子批判に拍手

2013.11.09.23:59

山崎行太郎という人の「文藝評論家・山崎行太郎の政治ブログ『毒蛇山荘日記』」をご存知でしょうか?正直に言うと、ぼくは政治の話が好きなわけではない。むしろ嫌いだと言っても良い。だから、このブログの熱心な読者というわけではない。だから、今回このブログに10回近くに渡って書かれた曾野綾子批判の記事を読んだのはたまたまだった。http://d.hatena.ne.jp/dokuhebiniki/20131109/1383950817 以下、このブログに書かれていることを紹介したい。

曾野綾子、以前から、どうも かなりうさんくさい と思っていたので、溜飲の下がる思いだった。2011年に確定した大江健三郎と岩波書店の沖縄戦裁判の関連した話である。要は、日本軍による沖縄住民への集団自決の強制は、あったか、なかったか、ということだが、山崎行太郎氏の書いた一連の記事を読むと、それとは別に、問題の日本軍の行った非道なことが山のように出てくる。集団自決を強制しようが、しまいが、それ以前に、善意から投降を勧めに来た女子どもを次々と斬り殺し、スパイではないかと疑われた学校の副校長も斬り殺し、朝鮮人軍夫も処刑する。曾野綾子はその事実を知りながら、自著の「ある神話の背景」では、そのように「残虐な殺人鬼集団と化してしまった」日本兵たちの名誉回復を図ろうとするとともに、そうした部隊の責任者や関係者をたきつけて、大江と岩波書店に対して名誉毀損の訴えを起こさせたのである。ただ、この裁判、そもそもの発端からして曾野綾子が大江健三郎の「沖縄ノート」の文章を誤読したことから始まったというのも、山崎行太郎氏、よくぞ、読み当てたと感心した。

沖縄の戦争、前に書いたように僕の連れ合いの両親は沖縄の出身で、もうすぐ90になるという義母はひめゆりの生き残り、20年ほど前に他界した義父は家族をすべて失っている。遺骨はおろか写真すらない。二人から沖縄戦の話を聞いたことは無いが、僕らには想像もつかないような悲惨な状況だったのだろう、ということぐらいはわかる。

そのような事態になれば、僕だって何をしたかわからない。拙ブログのメインテーマだけど、この世の中にはごくごく少数の悪い奴とその他大多数の普通の人がいるわけではない。普通の人がなにかのきっかけで悪いことをするのだ。だから、「残虐な殺人鬼集団と化してしまった」日本兵たちだって、故郷に戻れば普通の人で、周りの人たちから慕われたり、良き父親だったり、あるいは母の自慢の息子だったのかもしれない。だから、戦争という特別な状況の下での狂気が、彼らを「残虐な殺人集団と化してしまった」のだろう。100歩ゆずれば、やったことは戦争のせいだと言い訳することはできるかもしれない。(もっとも、そうした狂気の状態のなかでも、(「人間の条件」の中の主人公のように)人間らしさを失わなかった人たちも、きっといたと思う。ただ、そうした人たちは、(やっぱり「人間の条件」の中の主人公のように)おそらく生き残れなかっただろう。)

だから、問題はその後のことである。戦後になって、鬼から人間に戻ったはずなのに、自分が行った所業を反省することなく、むしろ正当化しようとするのは、これは恥ずべきことである。

そして、そうした元軍人たちの自己欺瞞を、政治的な意図を持って(!)背後から応援した曾野綾子も、当然非難されてしかるべきである。ひょっとしたら、旧軍人たちの中には、戦争中にやった自分の残虐行為を夢に見て、うなされ、罪の意識にとらわれていた者もいたのではないだろうか。ところが、そこに自分たちのやった残虐行為を弁護してくれる人が出てきた。昔読んだ「カラマーゾフの兄弟」のなかで、ロシア正教の司祭のゾシマ長老というのが、人間は嘘をつき続けると、その嘘が本当のことだと思い込んでしまうものだ、というようなことを言うシーンがあった(と思う)。

曾野綾子は彼らのやった鬼のような行為を擁護することによって(しかもそれが悪質なのは政治的な意図からおこなったことだ)、彼らが感じていたかもしれない罪の意識を忘れさせるという、文字通り曾野綾子が自ら信じているというキリスト教的な意味で、告解により神に許しを請う機会を奪い、地獄へおとすという悪魔の誘惑のようなことをしたのではないだろうか?



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comment

アンコウ
和田さん、初めまして。

コメントをありがとうございました。ごめんなさい、知識不足で話の細かい所まではとてもついて行けないのですが、逆に曾野綾子がなんでそんなに赤松たちを弁護したがっているのが、理解できないです。

山崎氏のブログをさらっと読むだけでも赤松たちがやったことは、戦争中だから、と言っても弁護できるような代物ではないですよね。少なくとも赤松たちは、敵のアメリカ兵よりも、守るべき日本の民間人や朝鮮の軍夫のほうをたくさん殺したわけですよね。

権力者たちは、軍隊が一般国民を守るものではないというのを知られたくないだろうというのは、理解できるけど、曾野綾子がなんでそんな権力者たち責任者たちのお先棒を担(かつ)ぐんでしょうね?? いや、別に曾野綾子なんかになんの興味もないから、知らなくても良いんですけど、ただ、彼女の書く上から目線の本がよく売れるようなのが、不思議でしょうがない。

今後ともよろしくお願いします。
2013.11.13 18:33
和田
こんにちわ  山崎氏のプログには曽野綾子の虚偽が控えめに書かれていますが、実際には「ある神話の背景」には20を超える事実改竄や粉飾、隠蔽があります。  曽野が司法制度審議会・willその他で吹聴した赤松隊との個別調査の嘘は写真で証明できますが、他にも東京駅で赤松隊と待ち合わせていた事実がある神話の背景に書かれています。 赤松隊の泛水途中に干潮に向かったというのは真っ赤な嘘で満潮に向かっていました。 船艇の出撃直善富野が先頭だったというのは知念(副官というが職制上は副官でなかった)の沖縄県史での証言で嘘であることがわかります。 安里巡査と赤松が会合した日も嘘であることが当の安里巡査(赤松の同士なのだが)の一貫した証言などから明らかです。 赤松は、留利加波基地撤去のため泛水路の完成が遅れ、米軍の沖縄侵攻が近いことを知りながら基地隊の本部陣地構築を黙認し、軍夫の泛水作業参加がかなわなかったことを、生涯気にしており、そのことが島民への加害行為や曽野等との謀略の主要な動機となったとみるべきです。  
2013.11.13 13:35
アンコウ
阪神さん、

こんにちは、初めまして。コメントをありがとうございました。

義母は88歳で、直接聞いていませんが、連れ合いによると卒業式はできなかったのではないかとのことです。こんど義母の所へ行ったときに、はえばるの三角兵舎で卒業式をしたのか、その他のことも聞いてみます。 

ただ、当時の写真はほとんど残っていないらしく、これまた連れ合いによると、「母の学生時代の写真は見たことがない」とのことでした。デジタルカメラがあるわけではないし、フィルムは貴重でしたから、そうそう当時の写真は残ってないですよね。

今後ともよろしくお願いいたします。
2013.11.10 22:55
阪神
はじめまして。山崎先生のブログから来ました。義理のお母様がひめゆり学徒だったのですね。90近いと言う事は三角兵舎で卒業式をした学年かもしれませんね。その南風原にあった三角兵舎の写真がみつかりました。ひめゆり平和記念資料館に送ってみてもらいました。今、その写真の原本があるかどうか調査しているので、あれば再度、ひめゆり学徒の方々にお見せすることが出来ると思います。
2013.11.10 17:15
アンコウ
CYPRESSさん、

こんにちは、僕だって読んでませんよ 笑)読む必要はないでしょう。

トップガンは見てません。ふむふむ、軍のプロパガンダ映画かぁ。映画を見るほうに、そういうリテラシイというか、読み取る能力があればいいんだけどねぇ。

今の世の中、感情だけを頼りにする奴が多すぎてね。マスコミも政治家もそうした感情を煽ってるだけだからね。
2013.11.10 16:29
CYPRESS
『生贄の島』は読んだけど、
問題の『沖縄戦・渡嘉敷島「集団自決」の真実ー日本軍の集団自決命令はなかった!』は読んでません。

武士道の惻隠の情、武士の情けに付け入る徳の低い日本人の多い事、多い事(溜息)。
惻隠の情が通用するのは相手も同じく徳が高い事が絶対条件なのになぁ…

ところで、空母と艦載機なんていう大量破壊兵器の見かけの良さが好きなんで、『トップガン』を最近観直したら驚いた(@_@)。
前からF14と空母をカッコよく映した合衆国海軍の宣伝映画にすぎないのは知ってたけど、
この映画、戦意高揚、戦争誘導への傑作ですゼ(@_@)。
空中戦をスポーツと捉え、カッコよく乗りのいいロックを後ろに流し、若者の通過儀礼の話にし、恋物語を加え、
無意識下にアメリカとアメリカ軍の好印象を植え付ける。
こんなプロパガンダ映画の出来のいいの、他に有るかね?

広瀬隆の『アメリカの巨大軍需産業』とか読まない世界の若者は簡単にアメリカ政府の手玉にとられちゃう、こんな映画観ると(溜息)。

アメリカには間違いなく天才がいる。
2013.11.10 15:21

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あんけ・たつや。欧州ロードレースに興味を持ってすでに30年以上。主にドイツ人選手を応援。特に青田刈りにいそしむ。歳にも関わらず、あらゆる点ですごいミーハー。そのほか好きなものは、読書、音楽はバッハと友川カズキ、北方ルネサンス絵画、映画、阪神タイガース(村山、江夏以来ですが、強すぎないこと希望、弱すぎはもっと困るが)。北欧の社会民主主義に対する憧れ強し。家族構成は連れ合いと娘三人。

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