「福島の警官が3人急性白血病でなくなった。」この数日、ツィッターではこの話があちこちで流れていた。でも、どうやらデマだったらしい。「反原発」派の人々の気持ちの中で、このようなことが起こるのではないか、という不安があるのは確かだろう。ぼくにもある。だから、こういう事が起こって日本人みんなが目を覚ませばいいのに、というちょっと裏返った怨念のこもった「いらだち」もある。特に選挙の後、今年に入って、マスコミのニュースは日本経済の話ばかりで、原発なんぞ人々の関心の埒外にあるような感じだから、なおさらである。だから、こんなデマに思わず飛びつく気持ちもわからないではない。
むかしの教科書の例文で、「人は自分が信じたいことを信じるものだ」という文章があった。この例文が強く印象に残ったのは、確かにそうだ、と思ったからだろう。
さて、一方で、「反『反原発』」派の人々が、上のデマをこぞって取り上げて、みんなで盛り上がり、不安を紛らわそうとしているのを見ると、逆の意味で、やっぱり上の例文を連想する。放射能なんて気にしなくても大丈夫なんだ、そう信じたがっている人達が集まって、みんなでわいわいやれば、本当に放射能なんて大丈夫なんだと信じてしまえる。安心していられる。ついでにしんどいことを考えなくてもすむ。
村上春樹の「1Q84」のなかに、こんな言葉があった。
「世間の大多数の人々は真実を信じるのではなく、真実であってもらいたいと望んでいることを進んで信じるからです。そういう人々は、両目をいくらしっかり大きく開けていたところで、実はなにひとつ見てはいません。そのような人々を相手に詐欺を働くのは、赤子の手をひねるようなものです。」(Book 1 p.437)
上の例文とほとんど同じだけど、最後の言葉が効いている。「反原発」派(むろんぼくもその一人だ)も、「反『反原発』」派も、この言葉をじっくり噛みしめ、詐欺に遭わないようにしなければいけない。
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