よく、憲法は現実に合っていないと言う人がいる。たしかに、憲法に書かれていることは9条だけでなく、あらゆるところに現実に合わないところが出てくる。いま、ざっと条文を流してみただけで、25条の「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」だって、ホームレスの人達が健康で文化的な最低限度の生活か? 36条の残虐な刑罰の禁止だって、絞首刑が残虐じゃないのか? 38条の自己に不利益な供述の強要、だって、菅谷さんのケースを見ただけで、日常的に強要されていることがわかるし、99条の公務員の憲法尊重義務なんか、国会議員が憲法の悪口を言うことだけで充分違法行為だ。
だけど、あたりまえだけど、憲法の条文には目指すべき理想だって書いてあるわけだ。調べると、これをプログラム規定説と言うらしいけど。現実にあっていないからと言って、憲法を現実に合わせるべきだというのは、頭おかしいとしか言いようがない発想だ。
- - -
「基本的人権の問題でしょう?」
どんな前後関係だったか覚えていないが、こう言ったら、目の前にいた、当時の市役所の障害福祉課の部長は、へっ、という顔をして、「基本的人権ね」とニヤニヤしながら言った。
そう、基本的人権なんて言葉に過ぎない。日本の多くのシーン(そのほとんどが弱い立場にある人たちだ)では基本的人権など考慮されていないのだろう。その意味では誰にでも人権は与えられているのだ、という考えをやめようという自民党の片山某の主張は現実に合わせたのだ、ということになるのかもしれない。(言うまでもなく、これ、むちゃくちゃな皮肉で言っているわけですよ 笑)
しかし、今朝の朝日の高橋源一郎のオピニオンを読んで、本当にこんな「アート」な日本国憲法改正草案が通ったら、日本は間違いなく北朝鮮になる、と思った。
憲法は、以前にも書いたが(というか、わざわざ全くの素人のぼくが言うほどのものでもないだろうけど)あらゆる法律の親玉なのではない。その他の法律が主に国民に向けられているのに対して、憲法は権力を持つ者の権力を制限するためにあるのだ。この自民党の草案は、憲法を使って、自分たちが決めた公益や公的秩序に従うように国民を縛り上げるものだ。
日の丸振り回して熱狂しているネトウヨのみなさん、良いだろうか、9条を変えて自衛隊を軍隊にするなんていうのは、いまの右傾化した日本では人気があるかもしれないけど、9条さえ変えて、中国や北朝鮮に対抗できればその他のところなんかどうなってもかまわないと思っているなら、結局は自分のクビを締めることになるだろう。
良ければ、下のボタンを押してみてください。

にほんブログ村
- 関連記事
-
スポンサーサイト
trackbackURL:http://tatsuya1956.blog48.fc2.com/tb.php/1164-8fa97369