いつものようにシネフィルイマジカで録画しておいたもの。
白黒に近いモノトーン基調で、昔見たロシア映画の「死者からの手紙」という、同じように人類滅亡直前を舞台にしたSFを思い出した。父と子供が廃墟と化した世界を南へ向かって歩いて行くという内容で、女性がまともに出てくるのは父親の思い出のなかぐらいで、その点でも、この手の映画としてはめずらしいんじゃないだろうか。
SFらしい特撮シーンはないし、アクションシーンもない。ときどき出てくる人食いと化した生き残った人間達にハラハラさせられるが、それ以外はほとんど、どんよりと雲の垂れ込めた廃墟の風景のなかをカートを押してあるくボロボロの親子の姿ばかり。ただ、どんよりと雲が垂れ込めたなかに点々と電信柱(?)が墨絵のように見えるような幻想的なシーンとか、映像としてフォトジェニックなシーンはいくつもある。
世の中は食糧難から、生き残った人々が人間を襲って喰うような暗澹たる世界で、そんななかで、主人公の父は息子にひたすら善き人となるよう諭す。全体的に陽が差さない昼間はモノクロに近い色合いで、火を焚く夜だけは普通のカラーになるんだけど、昼間のグレーの暗い世界に対して、夜のシーンの火はそうした少年の心に宿った善き炎のようである。
何が原因かはわからないが、動物も植物も死に絶え、食料がなくなり、厚い雲に覆われている廃墟と化した地球が舞台。こういうSFって昔から好きだった。大分昔のスウェーデンのSF小説「洪水の後」とか、バラードの「結晶世界」とか、きっともっとあるはずだけどね。この映画にも原作があるらしいので、そのうち暇を見て読んでみよう。
ただ、フクシマを経験した後では、むしろ昔見たロシア映画の「死者からの手紙」の、シェルターの外は放射能の猛吹雪のほうが、人類滅亡のシナリオとしてはリアリティがあるかもしれない。こちらはもう30年近く前に映画館で一度見ただけで、DVDも出てないようなので、記憶はかなりいい加減だけど、行方不明になっている妻と子供にあてて、シェルターの中で差し出す当てもない手紙を書き続ける老人の話だった。最後、老人は死んで、残っている孤児の子供達は防護服を着て放射能の荒れ狂う地上へ出て行くのだったと思う。
ところで、この「ザ・ロード」、アマゾンのレビュでは星5つから1つまでいろんな感想があるけど、この映画に星1つをつける人とは話ができないだろうなぁ 苦笑)
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