私の世代だと知らない人はいなかったけど、若い人たちはどうなんでしょうね?
前に書いたヴェンダースの映画「時の翼にのって」の冒頭で、ゴルバチョフが出てきてちょっと哲学的なことを言うのを思い出しました。
この映画は同じヴェンダースの「ベルリン・天使の詩」の続編で、「ベルリン〜」がまだベルリンの壁があった時代の話なのに、こちらはベルリンの壁が崩壊して東西ドイツが統一した後の話で、ある意味でゴルバチョフがいなかったらドイツ統一もあり得なかっただろうから、ここに登場するのは、ドイツ人ヴェンダースとしてのゴルビーに対する敬意の表れなんでしょう。ドイツのニュースなんかでも、ゴルビーのことを否定的に語るドイツ人はほとんど見当たらないですね。
ゴルバチョフはこの映画の中で、傍にオットー・ザンダーの天使がいることを知らず、人々の結束は血によるのではなく愛によるべきだというようなことを言います。ルーマニアのチャウチェスク以外はほぼ無血で東西の壁を崩した立役者ですから、ゴルビーにはこのセリフを語る権利があるといえるでしょう。
そして、まだベルリンの壁があった時代の「ベルリン・天使の詩」のラストでソルヴェイグ・ドマルタンがカメラに向かって愛があれば壁だって越えられる、みたいなことを延々と言うシーンがありますが、このゴルビーの台詞はきっとそこに繋がっているんでしょうね。
だけど現在のロシアではソ連崩壊の原因を作ったとして不人気だという論調もあります。ただ、現在の人類にとって普通の人ならみんなが同意する価値である人権とか民主主義という土台で考えれば、ゴルバチョフのやったことはロシア人にとっても良いことだったはずです。
ただ、ゴルバチョフにとって不運だったのは、この改革に乗じて、一気に新自由主義的経済政策が導入されたことなんだろう。このあたりのことは
ナオミ・クラインの「ショック・ドクトリン」にも出ていたことです。ゴルバチョフは国のあり方を、決して一気に共産主義から資本主義へ移行させようとしていたわけではなかったと思うけど、上の映画の自身のセリフのように、「運命がどうなるかなんて人間にはわからない」わけで、その後、現在のロシアがプーチン的な帝国主義的・拡張主義的・大ロシア主義的方向へ向かってしまったのも、あの時のゴルバチョフの失脚が遠因と言えるんでしょう。
合掌。
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