
僕の映画の見方って、この人の影響が非常に大きかったと思う。この人の晩年の話は触れない。この人の「映画をどう見るか」で、映画は自惚れ鏡であるという説を読んで、それまで感じていたいろいろな違和感がすっと溶けたような気がした。まだ学生だったと思う。
たとえば、イタリアのネオレアリスモ映画。ナチスの支配下でイタリア人はすべてファシズムに抵抗していたかのような自己欺瞞を肯定してしまう映画のありようを、批判的に見る目ってすごいな、と思った。また傑作「自転車泥棒」の解釈に、映画ってこうやって見るんだ!!と目を開かされた思いだった。
「映画子ども論」は、その後古本屋で見つけたものだけど、これはタルコフスキーの「僕の村は戦場だった」の詳細な解説が載っていて、この本を読んだときはまだ見てなかったと思うんだけど、その後映画を見てから読み直したし、繰り返し読んだ。同じことは「映画をどう見るか」でもタルコフスキーの「アンドレイ・ルブリョフ」について解説されていて、これも当時はむろん見てなかったけど、その後見てから読み直したし、やっぱり繰り返し読んだ。当時はまだビデオ屋も存在してなかったから、見たことのない映画のことを読んで、想像を膨らませていたし、実際に見た時の気持ちも、今とはずいぶん違っていただろうと思う。
多分この人の本を読んだせいで、ヨーロッパ映画などハリウッド以外の映画に興味を持つようになったんだと思う。「ヨーロッパ映画」は辞書のように使ったし、「映画で世界を愛せるか」では欧米以外の映画についていろいろ教えてもらった。
ただ、これらの本を読んだのは、どれも20世紀の話だ。このところすっかり忘れていたけど、でも僕の映画の見方の原点は佐藤忠雄の映画うぬぼれ鏡論だと思う。そして、その影響は映画だけではない。
合掌
よければ、下の各ボタンをポチッとお願いします(まあ、大した意味ないですので、ポチッとしなくても構いません。おまじないみたいなもんです 笑)

にほんブログ村
- 関連記事
-
スポンサーサイト