
1920年、100年以上前のスウェーデン映画ですね。もちろんサイレントです。 ウィキペディアにも載ってますが、映画史上最初期の傑作の一つです。少し前にAmazonプライムで見つけて見たんですが、映像としてのすばらしさに対して、字幕の日本語が10年前の自動翻訳でもここまでひどくないだろうと言うぐらいの酷さ。意味不明なだけでなく、男が話しているのに女言葉になっていたりします。ただ、映像が面白いのでなんとか最後まで見ましたが。
そうしたらYouTubeにもあったので、これも同じバージョンなのか確かめたくて見てみました。結果、日本語訳がまるで違います。無論こちらの方が比べ物にならないくらい良いです。間違ってもAmazonプライム版を見てはいけません。確認のためと思っていたのに、見始めたら一気に最後まで見直してしまいました。Amazonプライムではよくわからなかったところがはっきりしました。
(最初YouTubeを埋め込んでいたんですが、どうもうまく機能しないのでここにリンクを貼っておきます。)
YouTube「霊魂の不滅」へ同じくYouTubeでは100年以上前のサイレント映画の傑作をたくさん見ることができます。たとえば「イントレランス」や「カリガリ博士」、「戦艦ポチョムキン」や「メトロポリス」なんかは日本語の字幕付きでアップされています。
「イントレランス」なんかは3時間近いですが、セットがすごいだけでなく最後の方の説明なしのカットバックなんかは圧倒されます。そして話自体も最後の方はかなり感動的。今見ても普通に感動します。
こういう最初期の映画を見ると、映画っていうジャンルは発明されて四半世紀も経たないうちにほぼ完成形にまで到達していたんだなと思いますね。この「霊魂の不滅」では二重露光と呼ぶらしいですが、死神や霊魂は透けて見えて、自分の魂が自分の体から離れたり、壁やドアも通り抜けたりして、だけど普通の人には見えないっていう撮り方をしていて、まあ、今見ればちゃっちいと思うかもしれないけど、すでに100年前にやられていたわけです。
内容は、酒に溺れて妻子を捨て、不実を繰り返し、たまに反省したかのように見えながら、人々の善意を嘲笑い踏みにじってきた中年男が死神を前にして自分の人生を反省する話。まあ、ベタです。最後はキリスト教信仰が、いわゆるデウス・エクス・マキーナってやつになってて、それによって救われるってのも、現代の人間にはなかなか付いていけないかもしれません。
でも、見終わって心に残るんですよ、これが。大晦日の晩に死んだ罪人は、つぎの1年間、死神となって死者の魂を回収する馬車の御者にならなければならないという設定で、その死神と馬車の絵柄が幻想的で美しいんですね(上の写真がそれで、よく見ると馬や馬車が透けているのがわかるでしょう)。まあ、100年前の映画だと言う意識が評価を上乗せしている面もあるでしょうけど。
監督はヴィクトル・シェーストレムで、主役の男(ちょっと私は渡辺謙を連想しました 笑)も演じていますが、この人は僕としてはベルイマン監督の「野いちご」の主役の老人として印象に残っています。つまり1920年に中年男の役をやった俳優が1960年ごろの映画では老人役で出ている。そうか、1920年って僕にとってはとんでもなく大昔の印象があるわけですが、よく考えてみれば40年。僕の歳になると40年の年月というのがどのぐらいの時間かのイメージがあるわけで、二十や三十の時には40年ってとんでもない長い年月の気がしたでしょうけどね。
まあそれはともかく、YouTubeには版権切れなんでしょうか? ずいぶんたくさんの昔の映画がアップされてます。どれも画像が良いし、しばらくハマりそう。
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