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1952年のツールを古雑誌で(2)

2021.02.15.10:56

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But et Club. Le Miroir des Sports の7月3日号です。表紙は第8ステージで勝ったフランスの人気選手ジェムことラファエル・ジェミニアニ。

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さて前日に続き、第6ステージはナムール〜メスの228キロ。このステージも山岳ではないのに2位に5分半以上の差をつけてイタリアの第三の男と呼ばれたフィオレンツォ・マーニ(右上 この年のイタリアチャンピオン)が逃げ切り優勝です。この選手については書いたことがありました。これによってマーニがマイヨ・ジョーヌとなります。

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このステージは熱い日で、第1ステージ優勝のファン・ステーンベルヘンは途中の水飲み場で水浴びを始めてそのままリタイアしました。このファン・ステーンベルヘンという選手、クラシックを得意としていて、当時のベルギーでは人気ナンバーワンだったそうですが、その年のクラシックに一つでも勝てばあとはどのレースに出るかは自分で決められるというような契約だったと言われていて、この年もパリ〜ルーベに勝っていたので、暑いし辛いし総合上位無理のツールは顔見せでさっさと辞めちゃったようです。今では考えられない契約です 笑)

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また後ろの集団で落車やパンク、メカトラが多かったようで、コッピもパンクしています。

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第7ステージは個人TT。メス〜ナンシーの60キロで、これはコッピの圧勝でした。

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途中前輪のパンクがあって大きくタイムロスしたにも関わらず、最終的には2位に30秒以上の差をつけています。

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第8ステージはナンシー〜ミュールーズの252キロ。このステージはアルザス地方の小さな山をいくつか越えるステージでしたが、ジェミニアニがやっぱり5分以上の差で単独逃げきりに成功です。

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彼が勝ったことを伝える紙面の端にはちゃっかりコマーシャルが 笑) サン・ラファエル・カンキナという食前酒です。スポーツマンのための食前酒だそうです 笑) ジェミニアニのファーストネームがラファエルなので、55年からこのメーカーをスポンサーにしたチーム、サン・ラファエル・ジェミニアニというチームができ、もちろんそのエースが彼となります。彼は自転車のプロチームが一般企業をスポンサーにした最初の選手の一人です。

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続いて7月7日号はもちろんコッピが表紙ですが、隣でフランスのクライマー、ル・ギュイが頑張ったことも。

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第9ステージはミュールーズからローザンヌの238キロ。9人の逃げが決まって、そのままゴールスプリントでスイスのヴァルター・ディッゲルマンが優勝しますが、普段はトラックの、しかもドミフォンを専門とする選手だったようです。

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そしてとうとう、ツール初登場、今ではツールのきつい登りの代名詞にもなっているラルプ・デュエズ山頂ゴールステージの第10ステージです。上の右側はスタート前のバルタリとコッピ。真ん中右側はこの時代のツール名物のホースによる水掛けですね。カスクの選手はビックマウスで有名な自信屋ジャン・ロビック。下の写真が面白いです。今ではありえないけど、道端にコカコーラのトラック(キャラバン隊の一台だそうです)が止まって選手たちが殺到しているシーンです。まだ缶ジュースがない時代でコーラもビンですね。栓抜きはあったんだろうか? いずれにしてもかなり熱い日だったようです。

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左端からちょっと切れちゃったけど、このステージで勝負するぜ!と大言壮語のロビックが登りに入り、トレードマークのカスクをかなぐり捨ててアタック。後ろではコッピやバルタリをはじめクライマーたちがサバイバルレース。右ページの上は逃げていたロビックにコッピが後ろから迫ります。そしてゴールではコッピがロビックに1分20秒の差をつけてゴール。とうとう本命コッピがマイヨ・ジョーヌとなりました。右側の二つの写真をちょっと大きくしておきます。
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休息日を挟んでの第11ステージもブール・ドワザン〜セストリエールの上りゴールステージ。

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ガリビエ峠の上りでアタックしたコッピ(上)は頂上を2位に3分近い差をつけて通過し、その後もモンジュネーブル峠では2位に4分半、ゴールのセストリエールでは7分以上の大差をつけてゴールです。一方コッピがアタックした直後にパンクに見舞われたジャン・ロビック(下)は、モンジュネーブル峠ではコッピとの差を2分ほど縮めたのですが、ゴールでは11分以上遅れて万事休す。

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コッピはキャプションによれば、ほとんど全力を出すことなく淡々と昇り続け、ライバルたちには彼を止める力はなかったとあります。

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ちなみにジェミニアニとサン・ラファエル・カンキナのコマーシャルがありましたが、今度のこれもコマーシャルなのか? ゴール後のコッピが「俺のペリエを!」を言ったそうです。(隣はイタリアチーム監督で伝説の選手ビンダ)

さて、この時点で総合2位に20分近い大差をつけてますから、ほぼ52年のツールの総合争いはコッピで決まってしまったわけですが、まだやっと中盤です。この後も最後まで見ていきましょう。(続く)


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アンコウ

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あんけ・たつや。欧州ロードレースに興味を持ってすでに30年以上。主にドイツ人選手を応援。特に青田刈りにいそしむ。歳にも関わらず、あらゆる点ですごいミーハー。そのほか好きなものは、読書、音楽はバッハと友川カズキ、北方ルネサンス絵画、映画、阪神タイガース(村山、江夏以来ですが、強すぎないこと希望、弱すぎはもっと困るが)。北欧の社会民主主義に対する憧れ強し。家族構成は連れ合いと娘三人。

* 時々コメントが迷惑コメントとしてゴミ箱に入れられることがあるようです。承認待ちが表示されない場合は、ご面倒でも書き直しをお願いします。2017年8月3日記す(22年3月2日更新)

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