
このところ並行して読んでいた本です。
今から5億年も前のカンブリア紀に「カンブリア爆発」と呼ばれる、生物の進化が一気に進んだことが書かれたスティーブン・ジェイ・グールドの名著「ワンダフルライフ」を少し前に読みました。理解しきれなかったところも多かったんだけど何しろ面白くて、もっと図版の多いものをと思い購入したのが土屋健著の「エディアカラ紀・カンブリア紀の生物」というこの本。
期待にたがわず化石の写真や古生物の絵が豊富でとても楽しく読めました。グールドの本がもう30年前のものであるのに対して、こちらは2013年発行なので、カンブリア紀より前のエディアカラ紀のことや、グールド本で扱われていたバージェス頁岩より古い澄江(チェンジャン)で見つかった化石など、この間にわかったこともたくさん盛り込まれています。
一方でこのところ明るさが異常なほど低減したというニュースが飛び交うベテルギウス。新聞でも話題になってますね。明日にも爆発するんじゃないかなんて言われてもうだいぶ経ちますが、去年の秋ぐらいから一気に暗くなっているそうです。爆発すれば昼間でも見えるぐらい明るくなるそうで、数週間は続く派手な天文ショーになると言われています。
で、2011年に出た野本陽代「ベテルギウスの超新星爆発」、買ってからず〜っと忘れていたんですが、部屋の整理をしていたら出てきたので、古生物と並行して読んでみることにしました。
まあ結論から言えば、「明日にでも爆発か」と言われるけど、宇宙の世界での「明日」って言うのも上記の古生物の話と同じで、「今日から10万年後までのいつ爆発してもおかしくない」(p.37)っていうことみたいです 苦笑)
また、超新星爆発すると、640光年という比較的近い距離 笑)なのでガンマ線など有害なビームによってオゾン層が破壊されるんじゃないか、なんていう意見もあるらしいですが、この本によれば、この心配もベテルギウスの自転軸が地球の方向とはずれているから大丈夫とのことです。
でも、この本でベテルギウスのことに絞って書かれているのは前半だけで、後半は宇宙論の歴史と最新の、宇宙の膨張が加速しているという話などが書かれているので、表題はベテルギウスの話題に引っ掛けて、釣り気味の題名かも 笑)
カンブリア紀が5億年、宇宙の年齢は137億年、地球の誕生は46億年、なるほど10万年なんて宇宙にとっては「明日」ですね。なお、カンブリア紀の頃には無論まだベテルギウスは誕生していません。
また、この本によれば、星の誕生というのは、分子雲の中でいくつもの濃いガスの固まりが作られて、徐々に星になっていくんだそうで、一個だけ生まれるというよりはいくつもの星が同じ時期に作られて集団を形成するものなんだと。つまり、太陽にも兄弟に当たる星がいくつもあったはずなんだそうです。だけどできて46億年、その間にまとまりをなくし、離れ離れになり、今では太陽の兄弟に当たる星がどれなのかは全くわからない。
でもひょっとしてカンブリア紀の生物たちが生きていた頃にはまだ太陽の兄弟星がはっきりわかる程度に空に輝いていたのかも、なんて考えるとちょっと楽しい。そもそも5億年前の星々は現在とは配置が随分違っていたはずです。
で、こんなことを考えながら読んでいました。人類(ホモ・サピエンス)なんて誕生して高々20万年、猿と見分けがつかないようなヒト属でも700万年。それに対してカンブリア紀の、例えばアノマロカリスなんかは誕生から絶滅まで5000万年以上だし、三葉虫に至っては2億年以上栄えたわけ。あっ、身近なゴキブリだって3億年ぐらい前からいます。生きた化石だもんね 笑) しかし、それに対してホモ・サピエンスはこのままでいけばあと数百年ももたないでしょうね。
というわけで最初に書いた古生物の本、これはシリーズでこの後「オルドビス紀・シルル紀の生物」、「デボン紀の生物」、「石炭紀・ペルム紀の生物」。。。と全10巻まで続いて行きます。のんびりと暇なときに図版を眺めているだけでもかなり楽しそうです。
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