
副題は「森友事件をスクープした私が辞めた理由」であるだけに、森友事件を振り返り、何が本当の問題なのかを確認するのには最適の本。著者は元NHKの記者で、しかもご本人曰く「真正右翼」。その「右翼記者」ですら、現在の安倍忖度行政と安倍忖度NHKに呆れているわけで、安倍を支持することで何か右翼思想的なものがあるかのように気取っているネトウヨ連中も少しはモノを考えろよな、と言いたくなる。
森友事件というと、あの籠池理事長とその夫人のオモシロさに目をくらまされてしまって、この事件の本質を見失いがちだ。しかも検察も籠池夫妻を詐欺で捕まえて長期勾留して、完全に本筋から目をそらせようとした。しかし、著者はこの事件の1番の問題点は次の二点だと強調する。
(1)基準を満たすのか疑問のある小学校がなぜ「認可適当」とされたのか
(2)なぜ国有地が大幅に値引きされて売却されたのか
(1)は認可権限のある大阪府の失態であり(2)は格安で売却した国の失態である。つまり森友事件とは行政の不正問題なのである。
(1)の問題は当初「認可保留」となりながらわずか一ヶ月後に臨時審議会が開かれて一転「認可適当」となった。認可権限があった大阪府はトップが大阪維新の会で、なんちゃって野党で実は安倍応援団別働隊であることはご存知の通り。
(2)の問題は約9.5億の国有地(=国民の財産)が1.3億で売却された。8億以上の値引きだ。近畿財務局と財務省官僚らの背任行為である。しかも、この値引き、森友側から8億値引きしてくれと言い出したわけではなかった!! 常識で考えれば、森友の籠池理事長が安倍かその嫁の名前を出して行政を脅したと思うだろう。ところが、なんと!! 実際は森友側ではなく、近畿財務局の方から森友に、いくらなら出せるか聞き出していたというのである。しかもそこで言われた上限額(1.6億)以下で国有地(繰り返すが国民の財産だ)が森友に売られたのである。
しかもその際の公文書をのちに改ざんする。のちにというのは、安倍が国会で自分なり嫁なりが関与してたら議員を辞めると見栄を切った直後だ。そしてこれによって改ざんさせられた職員が一人自殺していることも忘れてはならない。
責任を問われることを何より嫌う役所(行政)が自ら率先してそんなことをするはずがない。そこにあったのは忖度か、それとも安倍の脅しかどちらかだろう。現に
安倍はかつてNHKの放送局長に「ただでは済まないぞ、勘ぐれ!」と恫喝した過去があるのだ。常識で考えれば、行政機関が安倍に忖度したのではない、安倍が行政に忖度させたのだ!
さらに問題はそこで止まらない。NHKでの報道に上層部から様々な横槍が入る。報道局幹部の中にはなんとかこれらの特ダネの価値を骨抜きにしようとしている人たちがいるというのである。
そして司法でも大阪特捜部は「過去に無理やりの起訴を繰り返してきた」くせに「今回に限って無理やりの不起訴で証拠を闇に葬っ」(p.282)て、その後不起訴を決定した特捜部長は栄転した。嘘つきまくって公文書は捨てたとほざき、覚えてないと言い張った理財局長の佐川も、安倍の嫁の秘書だかの女性も、加計問題での秘書官の柳瀬も、ほとぼり済んだらみんな栄転 苦笑)
これだけわかりやすいことをされても怒らない日本人ってすごいね。そのくせ生活保護受給者は思いっきりバッシングする日本人ってほんま怖いわぁ。
いや、安倍政権による日本の闇の一端がわかる本である。無論、報道の裏側でどんな駆け引きがなされているかという話も面白いのは言うまでもないが。
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