
最後、めちゃくちゃ感動しました。美男美女が出てこないのが良い。前半と後半のギャップもすごい。最後のタクシー運転手たちの連帯感も泣かせる。主演のタクシー運転手の顔が
前に拙ブログでも紹介した「コクソン」の主役と被った。そういえば同じようにダメ親父が奮起する話だわ 笑) ヴァイオリンが不安を煽るような音楽も含めて、うまいなぁ、韓国映画、おそるべし。
1980年ごろ、なぜか在日韓国人作家の小説を随分読んでいた。李恢成(イ・フェソン)、金鶴泳(キム・ハギョン)、金達寿(キム・ダルス)、そして一番好きだったのが金石範(キム・ソクポム)だった。なんでそういう方向に興味を持ったかはよく覚えてないけど、多分遅れてきた高橋和巳ファンとして遅れを取り戻そうとしてたのかもしれない 笑)
だから、光州事件は記憶にあるけど、何が起きているのかはこの映画にもあるように完全に光州が封鎖され、電話も繋がらなくされていたから、日本でも何か起きているらしい、という程度のニュースだったような気がする。その後金大中(キム・デジュン)に死刑判決が出たりして、朴正煕(パク・チョンヒ)の暗殺で始まるかに思われた韓国民主化が全斗煥(チョン・ドファン)のクーデターで酷いことになっていった。その末にあったのが光州事件だったと思う。
そんな時代を背景に、特ダネ狙いで日本から韓国に渡ったドイツ人ジャーナリストが、調子の良いタクシー運転手を雇って、ソウルから戒厳令の布(し)かれた光州へ向かい、そこで事件を撮影し、危機一髪で封鎖を突破してカメラを奪おうとする政府の追っ手を逃れて、世界に惨状を伝えるというのが大きな内容。
ドイツ人ジャーナリスト役をやったのがトーマス・クレッチマン。この人は「戦場のピアニスト」で主人公のスピルマンを助けるホーゼンフェルトというドイツ軍人役で、軍服コート姿も美しくオイシイところを持っていっちまった人です 笑) その後「ヒトラーの審判」という映画で頭を剃り上げて? アイヒマン役をやったり、ドイツ映画ではちょくちょく見かける俳優。今回も前半の主人公のタクシー運転手との珍妙なやり取りや、目の前で起きている惨劇にカメラを向けなければならない苦渋の表情など、うまいところを持ってったなぁ 笑)
軍の描写が半端ない。例えば昨今のドイツ映画では悪役のナチスに、ナチスにだって事情はあったんだよ、悪いことをしているという自覚があったんだよ、迫害されている人に同情はしていたんだよ、という変な甘さがあって、それって、ドイツ人が自ら言っちゃあダメでしょ! っていう映画が多いような気がする。例はいくらでもあげられるけど煩雑になるので、そのうちまた。
だけど、ここでは軍は容赦無く光州市民や学生に銃を向け躊躇なく発砲する。手心なんか加えない。軍もそうだけど、作り手もそう。そして、最後の最後に一人。。。ブラピの「フューリー」(この戦車映画は僕は嫌いです)の最後の方を思わせる展開になる。ポイントを絞ったこの展開に思わず涙が出たし、その後のタクシー運転手たちの連帯感にも感動したし、そしてラストも、こうするかぁ、と。大感動でした。
ところで、ネットで検索したら、この映画の元になった主人公のタクシー運転手の実像についての記事がみつかりました。映画とは全く違うけど、これもまた感動ものでしたので、この映画を見た方は是非お読みください。
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