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史上最高のツール・ド・フランス

2018.11.16.23:59

なんだか忙しく、すっかりご無沙汰ですが、拙ブログの売りは昔の自転車レースですので、久しぶりにそんな記事を。

ツール100年の頃に、フランスのファンに、史上最高のツールのアンケートを取ったそうです。その結果ダントツの1位が1964年のアンクティルがプリドールに55秒差で勝ったツールだったそうです。ついに一度もマイヨ・ジョーヌに袖を通すことができなかったレイモン・プリドールが、もしマイヨを着ることができたとしたら、この年だっただろうと言われています。

特にトップのアンクティルがプリドールに対して56秒差で迎えだ第20ステジ、ブリーヴからル・ピュイ・ド・ドームまでの237.5キロの山頂ゴールステージ。ツール史上でも1、2を争う好レースだったと言われています。

このステージのYouTubeがないかと探したんですが、どうもスチール写真はたくさんあるものの、映像としてはないようです。このDVDには少しだけ出てきますが。。。


ル・ピュイ・ド・ドームという山は山頂部分が狭いのと、道が一つしかないことから、現在のツールではおそらくもう2度とコースに選ばれることはないと思われます。1952年に初登場してコッピが優勝してから13回ツールに登場してますが、1988年を最後にコースになってませんね。山を蛇行するのではなく、山の周囲を螺旋状に回っていくコースになっています。CyclingCols で見ると11キロで925メートル、平均8.5%、最大13%強の、かなりハードな上りコースです。

で、我が家にあるL’Équipe Cols Mythiques du Tour de France という本にはこの時の様子が数百メートルごとに紹介されています。その内のいくつかを紹介しながらレース展開を再現してみましょう。

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まずは麓のゴールまで6キロの地点です。この時点では10人ぐらいの集団です。右から突っ立った特徴的なスタイルのバーモンテス、アンクティル、プリドール、ヒメネス。

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4キロ地点でフリオ・ヒメネスがアタック。この選手は67年に総合2位になっているし、この伝説となっているステージに優勝しているのですが、67年はヴァントゥー山でトム・シンプソンの死亡事件があり、このステージではステージ優勝よりもアンクティル対プリドールに注目が集まってしまって、すっかり忘れられているかわいそうな選手です。

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残り3.5キロではバーモンテスもアタック。アンクティルとプリドール以外の選手はすでに遅れています。

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ここからは邪魔するもののない、二人だけの戦い。ステージ争いはスペイン人の二人に任せて、総合争いを目指してアンクティル対プリドールの伝説的なバトルが開始されますが、物の本によると、バーモンテスがアタックした時にプリドールはついて行こうとしたとか。ところがそこでアンクティルが一言、「スペイン人に持ってかれちまうぜ」。これを聞いて、プリドールはアンクティルの余力を考え、追うのをやめたと言われています。実際はアンクティルはこの時ちぎれそうだったけど、精一杯のブラフを仕掛けたのだと言われています。

以下延々と続く二人のつばぜり合い。
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これはおそらく一番有名な写真ですね。アンクティルは現在の戦法ならプリドールの後ろに付いただろうと思うんですが、両者横並びで登っていくんですね。しかもこの螺旋状のコース、外側(つまり崖側)にプリドール、山側にアンクティルという形ですが、それもアンクティルは計算づくでそうしたと語っています。

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あと900メートルでとうとうプリドールがアタック。アンクティルを引き離します。

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必死に追うアンクティル。

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勢い余ってプリドールはカメラマンバイクにぶつかりそうになります。

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アンクティルを押した観客を注意する審判バイク。

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二人のゴールですが、アンクティルはゴール直前にアドルニにも抜かれてステージ5位。しかし、序盤のブラフのおかげでプリドールに対する遅れを42秒に抑え、14秒差でまだマイヨ・ジョーヌを守ったのでした。この後翌々日の最終日のTTでブーイングの中、プリドールに21秒の差をつけて5度目の総合優勝を遂げました。

翌1965年は、一説ではアンクティルはプリドールに敗れるのを恐れてツールを欠場したと言われていますが、最大のチャンスだったのに、プリドールは今度はイタリアのジモンディに2分40秒の差をつけられて、やっぱり2位に終わっていますが、それはまた別のお話。



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プロフィール

アンコウ

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あんけ・たつや。欧州ロードレースに興味を持ってすでに30年以上。主にドイツ人選手を応援。特に青田刈りにいそしむ。歳にも関わらず、あらゆる点ですごいミーハー。そのほか好きなものは、読書、音楽はバッハと友川カズキ、北方ルネサンス絵画、映画、阪神タイガース(村山、江夏以来ですが、強すぎないこと希望、弱すぎはもっと困るが)。北欧の社会民主主義に対する憧れ強し。家族構成は連れ合いと娘三人。

* 時々コメントが迷惑コメントとしてゴミ箱に入れられることがあるようです。承認待ちが表示されない場合は、ご面倒でも書き直しをお願いします。2017年8月3日記す(22年3月2日更新)

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